2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオバンキングを利用した市場メカニズム導入のための実証研究
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23380133
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西尾 健 法政大学, 生命科学部, 教授 (90356288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 泰治 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80158451)
矢部 光保 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20356299)
野村 久子 九州大学, 国際教育センター, 講師 (60597277)
平井 一男 法政大学, 生命科学部, 兼任講師 (90414937)
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Keywords | 農業環境政策 / 生物多様性オフセット / 生物多様性バンキング制度 / 指標生物 / クレジット化 / 海外制度調査 |
Research Abstract |
日本におけるバイオバンキング制度の導入可能性を検討するにあたり,既に同制度を導入し,オフセット用地やクレジットの売買が盛んな米国カリフォルニア州の制度について,現地行政機関および関係企業にヒアリング調査を行った。その結果,主に以下が明らかとなった。 1生物多様性バンキング制度が成立している背景には,法的な枠組みがきちんと整備されており,生物の保全やレクリエーション,開発といった関連機関の役割が明確にされていることが明らかとなった。 2生物多様性の指標生物の多くが絶滅危惧種(例:Elderberry Longhorn Beatle)であり,生物多様性の指標生物として明確なものとなっていた。但し,絶滅危惧種のみで生物多様性の指標としている点には問題がある。 3生物多様性バンキングのクレジット化に際しては,指標生物の生息地面積1acreを1クレジットとして取引が行われていた。 4指標生物の生息地(バンク)の生物多様性の評価・認可・登録は,専門の行政機関が担当している。 5バンカー(仲介企業)はクライアントである開発業者のニーズに応じてオーダーメイドのバンクを開発するケースが多い。また,予めニーズのありそうな場所を見つけバンクを設置しているとのことであった。 6視察したバンクでは,手つかずのまま保全されている場所,環境保全型農業を行う農家に貸し出している場所など,明確な目的ごとにゾーニングが行われ,管理・保全がなされていた。 生物多様性バンキング制度の行政手続きや生物多様性の評価方法については,これまでの先行研究では十分明らかにされていなかった。これらの点を明らかにしたことは,我々研究チームが成し得た平成23年度における大きな成果と言える。また,国内学会や研究機関において調査結果や事例報告を報告するなど,次年度の研究に向け専門家らとの間で有益な意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の主要な課題であった海外におけるバイオバンキング制度については,海外での詳細なヒアリングを行い,クレジット化の手法等が明らかとなった。また,同調査の結果を踏まえ,国内における生物多様性の指標生物の選定および生態学的管理方法の検討の端緒を得るに至った。一方,生物多様性の経済的価値評価に関しても国内の複数の調査地を事例とした研究が進行している。以上のように,我々の研究における4チーム各々が順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目となる平成24年度における各チーム研究の方向性は,以下のとおりである。(1)海外制度調査チームは,農地を活用したバイオバンキング制度が始動した英国において海外制度調査を今夏に実施する。(2)制度設計チームは,国内の農業関係機関と連携しつつ,生物多様性の指標となる生物の選定および生態学的管理手法の提案に向け,国内の圃場を利用した実証実験を実施する。また,海外制度調査の結果を踏まえ,日本の農地を活用した日本版バイオバンキング制度の青写真を描く。(3)コンセンサス会議チームは,NPO等の協力を仰ぎ,生物多様性の保全に資する農地管理の在り方や地域農業・地域経済の活性化についてコンセンサス会議を企画実施する予定である。(4)政策評価チームは,平成23年度に引き続き生物多様性の経済評価を実施すると共に,農業関係者やNPOなどを対象とし,バイバンキングや生態学的管理への関心・協力など意向調査を検討している。
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[Presentation] 家庭菜園のなかま2012
Author(s)
平井一男
Organizer
埼玉県越生町昆虫と自然の館プレオープンセレモニー
Place of Presentation
越生町梅園コミュニテイ館(ポスター報告)
Year and Date
2012-02-11
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