2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオバンキングを利用した市場メカニズム導入のための実証研究
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23380133
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西尾 健 法政大学, 生命科学部, 教授 (90356288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 光保 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20356299)
野村 久子 九州大学, 国際教育センター, 講師 (60597277)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 農業環境政策 / 生物多様性バンキング制度 / 海外制度調査 / 生態学的管理手法 |
Research Abstract |
本課題は,農地を活用した生物多様性保全策の一つであるバイオバンキング制度をわが国でも導入可能か検討するものである。2012年度は農地を活用した環境保全に積極的な英国で,行政機関や同事業に参加する農家に対してバイオバンキング・パイロット事業を中心に聞き取り調査を行った。以下,その成果である。 ①英国では2011年からバイオバンキング・パイロット事業を開始。国内6箇所をパイロット事業地とし,生物多様性の評価を実験的に開始。クレジットの売買は調査時点では未実施。 ②英国農業農村環境省(DEFRA)では開発事業者向け,土地所有者向け等のtechnical paperを発行し,その中で希少性や植生状態別に高・中・低の3段階に分けて得点化されている ③実際に英国の農業環境,生物多様性保全プログラムに参加している農家にヒアリング調査を行い,別途,報告書にまとめている。 また,海外制度調査とは別に,④日本国内に設けた実験圃場において,農地における生物多様性評価に資する指標種の捕獲・選定作業や,生態学的管理手法の妥当性やその効果についても検証作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに欧州および米国のバイオバンキング,生物多様性オフセット制度について現地ヒアリング調査を行い,欧米の制度比較を実施できる段階にある。また,国内の圃場で生態学的管理手法を実践し,その効果を計測し,生物多様性の指標としてどのような種が適当なのか,そのためのオプションには何が良いのか結論づけるのに十分な材料を準備できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となる平成25年度は,研究期間全体のとりまとめも見据え,各研究チームの取り組みの方向性は以下のとおりとする。 ①海外制度調査チームは,米国および英国における農地を活用したバイオバンキングをはじめとする生物多様性保全のための制度の特徴や欠点をまとめる。 ②制度設計チームは,海外のバイオバンキング制度の利点などを参考に,日本に適したバイオバンキング制度あるいはそれに類似する制度や,それを構築するための必要条件などを提示する。 ③コンセンサス会議チームは,熊本県阿蘇地域におけるあか牛の放牧を活用した生物多様性保全策について,地元の農家や関係者と会合をもち,ステークホルダーの参加意欲を調査する。 ④政策評価チームは,これまでの海外制度調査チームのこれまでの成果を踏まえ,米国・英国およびドイツ等における農地を活用した生物多様性保全制度ならびにバイオバンキング制度について比較分析を行う。併せて,熊本県阿蘇地域におけるあか牛の放牧による生物多様性保全の効果についても検証を行う。
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Research Products
(10 results)