2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Irrigation, drainage and rural engineering/Rural planning
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩澤 昌 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80134154)
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Keywords | 窒素収支 / 肥料の溶脱 / 脱窒 / 浸透量 / 溶脱率 |
Research Abstract |
東京田無の東京大学生態調和農学機構内の小麦・トウモロコシ輪作の農地の施肥の異なる4区画および雑草地において、根圏下(約2m)までの土壌を深度別に採取して土壌水中の全窒素濃度分布を求めた。根による吸収がある根圏内の窒素濃度は高く時期と深度による変動があるが、深度1m以下の濃度は根圏内より小さくの時期と深度による変動が少ない。この濃度に浸透水量(1000mm/y)を乗じて根圏下における浸透水によって溶脱され地下水に向かう全窒素フラックスを算定し、別途得られている施肥と収穫窒素量から収支算定をした。この結果、単位面積当たりの年間の浸透流出量は、標準施肥区(施肥N:240ha^<-1>y^<-1>),施肥1/2区(施肥N 130kg ha^<-1>y^<-1>),堆肥区(施肥N 277kg ha^<-1>y^<-1>),無施肥区(施肥なし,収穫あり)、雑草区(施肥なし、収穫なし)のそれぞれにおいて、32、11、20、10.6、6.6kg ha^<-1>y^<-1>となり、施肥量が多いほど浸透流出量は多く、肥料の溶脱率は施肥3区においてそれぞれ、13%、11%、20%となった。また、窒素収支残差(=施肥量+降雨流入-収穫-浸透流出)は、農地5区において、それぞれ-50、-20、-161、-137、26kg ha^<-1>y^-となった。この窒素収支残差は、土壌中の窒素増加量と大気損失(脱窒)の和である。雑草区の残差は脱窒量を表すが、農地で残差が負であることは、対象農地が過去に施肥量が多かったため、土壌に蓄積された窒素が施肥を上回る収穫と浸透流出によって年々減少する過程にあることを意味する。農地の窒素収支は、一定施肥を数年間続けた程度の期間では定常状態にはならない。 福島第1原発事故に伴い、土中の窒素移動測定手法に準じて、農地土壌中における放射性セシウムの移動モニタリングを緊急に加え、結果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり、施肥の異なる農地と雑草区において根圏下への窒素浸透フラックスを算定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
田無の農地等における土壌サンプリングを手法とする窒素流出のモニタリングを継続するとともに、新たに、テンショカップを先端に付けたパイプに負圧を与えて土壌水を直接採取する方法を適用して、根圏下への浸透水の窒素濃度のフラックスの経時変化を追う。
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Research Products
(1 results)