Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 晋生 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (10335151)
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70447514)
橋本 洋平 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (80436899)
坂井 勝 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 講師 (70608934)
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Research Abstract |
本年度は,土中の水分・窒素・炭素統合循環モデルを提案するために,シミュレーションプログラムの開発,水田土カラム中の水分・溶質移動実験,飽和から乾燥領域までの不飽和透水係数の高い精度の測定と不飽和水分フラックス測定に取り組んだ. シミュレーションプログラムは,水分・溶質移動予測プログラムHYDRUS-1Dと地球化学反応データベースPHREEQCを連結させたHP1プログラム(Jacques and Simunek,2005)を用いた.まず,窒素・炭素循環モデルは,LEACHMモデル(Hutson,2005)に習い,C/N比の異なる植物遺体(Plant residue)と有機肥料(Manure)の有機物分解に伴う窒素と炭素の形態変化を対象とした.PHREEQCを用いて,窒素と炭素の形態変化を一次分解反応式で表し,有機物の分解による炭素と窒素の形態変化をC/N比に基づき規定した窒素・炭素の連結循環モデルを定義した.さらにHP1を用いて,土中の水分・窒素・炭素連結循環モデルを構築し,窒素・炭素循環過程を定量化し,アンモニア態窒素と硝酸態窒素の移動予測モデルを構築した. 水田土カラム実験では,水分と溶質の移動過程における土壌の酸化還元電位の変化を調べた.その結果,土壌への大気の直接的な侵入が土壌の酸化反応に及ぼす影響,その応答のタイミングと酸化速度が明らかとなった.また,水の流れや窒素・炭素といった基質の濃度が酸化還元電位に与える影響を,異なる浸透速度や濃度について明らかにした. 不飽和水分移動に対しては,砂,シルト質土,黒ぼく土など異なる土性の水分保持特性を水分吸脱着過程水ポテンシャル連続測定装置を用いて,吸水過程,排水過程の水分保持特性について,低水分領域までの測定を行った.それら試料に対して,蒸発法による不飽和透水係数の推定を行い,低水分領域までの水分保持特性測定の有用性を確認した.また,5線熱パルスセンサーによる不飽和土中水分フラックスの測定精度を検討した.
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