2011 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域活性化の実践に向けたソーシャルキャピタルの有効性と限界に関する実証的研究
Project/Area Number |
23380141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 愼太郎 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20026602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80346098)
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
平井 寛 岩手大学, 工学部, 准教授 (20387749)
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Keywords | ソーシャルキャピタル / 農村地域活性化 / 地域づくり / 農村社会 |
Research Abstract |
科学的議論が成熟されていない中,近年,ソーシャルキャピタル(以下,SC)は実際に政策の中に重要な要素として取り入れられつつある。我が国のSCに関する研究は未だに発展途上にあり,SCを定量化する方法,SCを高める方法,政策への応用などがSC研究の最前線にある。いずれの場合もSCを高める(あるいは低くする)要因を明確にする必要があるが,現段階ではSCは無形で曖昧模糊とした概念であるため既存のデータとの関連性がわかりにくい。こうした要因を抽出するための質問項目について欧米型の先行研究で用いられたものに加え,地域独自の社会構造,その運営,歴史や環境によって形成された地域独自の風土を測定できる調査項目を独自に設定し,アンケート調査や悉皆調査を通じて捉えるための準備を中心に活動した。 SCの測定は,地域資源に関する意識,地域社会・住民に対する信頼感,友人等との面会ないし連絡・交流の頻度や場所,個々人の健康感等を想定し,これらを尋ねるアンケート調査票の検討を行った。自治組織への参加状況,まちづくり活動への参加(活動の運営等への参加)度合いについても回収率を鑑みて質問項目に取り入れるべきか検討した。 理論的枠組を確認し,アンケート調査に活かすため,2006年に研究代表者らが行った大規模アンケート調査の結果を用いて分析を行った。具体的には,SCを形成する信頼の要素を一般的信頼と地域内住民に対する信頼に分けて,それらの相互関係の検証をマルチレベル分析により行った。また,SC形成量の地域差に関してボンディング型,ブリッジング型のSCの比較分析も実施した。これらの結果を用いて,さらに精緻な調査票の質問項目を作成すべく,検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査を配付するための適切な研究対象地域の選定,および質問項目の設定に関して当初の予定よりも時間を要したため,アンケートを実施することができなかった。そのため,アンケート紙の発送を次年度送りとし補助金を繰り越したことから,予定よりは「やや遅れている」状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的な枠組みを整理したうえで、早急に質問紙の質問項目を設定してアンケート実施に向けて精力的に活動する。質問項目によっては、倫理的な問題が生じる可能性もあるが、大学内の倫理委員会等に審査をしてもらい、適切なアンケートを作成するよう配慮する。また、大規模なアンケート調査であることから、可能な限り郵送料を安価におさめるべく宅配業者、郵便局などを比較して経費削減に努めることとする。また、理論的な整理を行うために質問紙作成と並行して、過去のアンケート結果を利用した分析も行うこととする。
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Research Products
(5 results)