2012 Fiscal Year Annual Research Report
竹チップ発酵熱抽出・利用システムの実用化手法の開発
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23380149
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 平和 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (90115246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中木原 江利 金沢大学, 環境デザイン学系, 研究員 (00547193)
池本 良子 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40159223)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 農業工学 / モデル化 / 発酵熱 / 廃棄物利用 / 環境技術 |
Research Abstract |
回収された発酵熱の利用施設の提案 1)温室内暖房・保温:初めから低温の空気なので除湿不要。通気用パイプ配管により、ターゲットとなる空間を直接暖房する。このシステムについては、熱媒体が水ではなく空気である。伝熱モデルによる数値シミュレーションにより、パイプ出口空気温度が入口空気温度より20℃高くなることが示された。 2)栽培土壌の保温:対源法で計算した土壌加温必要熱量は170 kJ/(m2h)と見積もられた。発熱速度を標準値200 kJ/(m3h)、竹チップ容積100 m3、熱回収・利用率 60% とするとき、12000 kJ/h の熱が使え、育苗床加温面積が 70.6m2 と見積もられた。 3)陸上養殖槽の保温:小規模発酵槽(容積 0.157m3)、蓄熱水槽(容積 0.016m3)、養殖水槽(容積 0.016m3)を用いた室内熱回収・利用実験を実施した。その結果、初期の発熱は大きく、熱回収により蓄熱槽、利用槽の温度は外気温より10程度高い状態を1週間程度維持できたが、装置が小さく、発熱量に対する放熱量が大きすぎたため、その状態が長くは続かなかった。このことから、大型装置の必要性が指摘された。また、この伝熱過程の数学的モデルを作成し、実験結果と良好に一致することを確認した。これを受けて大型装置のシミュレーションを行い、1000時間以上の発熱の長期安定と、利用槽の安定水温確保が予想された。さらに、輪島市で、㈱サクシードの協力を得て、50m3の竹チップ層を用いた熱回収・利用実験を実施し、外気温5℃に対し、約2か月間養殖を想定し多水槽温度を35℃以上に維持できている。 また、数学的モデルによるシミュレーション結果によれば、50m3の竹チップ層を用いた場合、約25m3の泥鰌などの養殖水槽温度を30℃に維持できるものと試算された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竹チップ発酵槽の陸上養殖水槽加温への利用システムについては、実験的・理論的に可能性の高さが示された。ただ、発酵機構の微生物工学的検討を進め、長期安定化のメカニズムを明確にする必要がある。全体的に、利用施設をも考慮した伝熱プロセスモデルが完成したので、実際的な実験による実証の基盤ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度作成した小型発酵槽を用いた発熱・熱回収・熱利用実験、及び、輪島市で実施中のパイロットプラント規模の実験を継続的に実施し、これまでに作成した数学的シミュレーションモデルの妥当性を総合駅に検討する。屋外実験での動力源としては、自然エネルギー由来の太陽電池を使う方向で検討中。さらに、効果的な制御システムの研つも行い、総合的システムの設計方法を確立する。 竹チップ堆肥化過程の微生物反応モデルを組み立て、その妥当性を微生物叢の遺伝子解析を通じて確認し、熱回収・利用操作の持続時間の予測をより正確に行う方法を検討する。 竹チップ発酵熱の発熱特性、熱回収方式、有効な熱の利用システムについて得られた成果をまとめ、学会発表するとともに、印刷・製本し、公表する。
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Research Products
(5 results)