2011 Fiscal Year Annual Research Report
作物根による物質吸収と分泌のリアルタイム画像化と定量的解析システムの開発
Project/Area Number |
23380155
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20354962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
信濃 卓郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上席研究員 (20235542)
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
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Keywords | 経根吸収 / 分泌 / イメージング / RI |
Research Abstract |
平成23年度は、根と近傍土壌の直接撮像技術の構築のため、土壌と植物体地下部を保持しながら、植物の栽培とRIトレーサの投与、さらに画像化を可能にする「根箱装置」の開発を行った。複数種類の装置を設計し、アクリルなどを材料として製作し、これらを用いて植物体の土耕栽培を実施した。また、植物体地上部への効率的なC-11標識二酸化炭素トレーサの供給を可能にするため、「トレーサガス供給システム」の配管等のデザインを行い、実機を試作した。以上の装置を用いて、C-11標識二酸化炭素トレーサガスの植物体地上部への投与と、Na-22標識ナトリウムイオンの土中への投与を行い、ポジトロンイメージング装置によるイメージング試験を行った。その結果、ヒエなどの植物で、地上部から移行したC-11標識光合成産物により土中の根系の可視化に成功し、同一個体においてナトリウムイオンの経根吸収と地上部への移行を可視化することたも成功した。さらに、地上部から根系へ移行したC-11標識光合成産物が、土壌中に放出(分泌)された様子も画像として捉えることに成功した。以上の成果は、土壌中の栄養物質や汚染物質の経根吸収と地上部への移行と、根系から土壌中への有機物の分泌をイメージング解析することのできる技術の構築に向けた確かな手応えと言えるものであり、平成24年度に予定しているイメージングデータの取得に繋がるものである。なお、本法が対象とする土壌汚染物質として、課題申請時に予定していたカドミウムやナトリウムなどに加え、事業開始直前に発生した東京電力福島第一原発事故によって放出された放射性セシウムを挙げるべきであると考えた。そのため、平成23年度は、根箱装置にCs-137などの核種を適用するために、セシウム高集積性植物の一つであるオオイタドリの根箱装置での栽培試験も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた実験装置の開発に概ね成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発・製作した実験装置を利用して、2年目は植物を用いたイメージングデータを取得することに集中する。なお、研究計画の本質的な変更ではないが、本課題で開発しようとする「経根吸収のイメージング解析技術」は、東京電力福島第一原発事故に由来する放射性セシウムによる土壌汚染問題に貢献すると考えられることから、使用植物種や使用核種の選定にはこれを念頭におくこととする。現在代表者が所属する研究グループで開発を進めている「ガンマカメラ」「コンプトンカメラ」などの計測技術も積極的に利用して、本課題で予定するイメージング実験を推進する。
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