2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380158
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 徹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40181680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟場 正幸 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40238655)
熊谷 元 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50221940)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 筋線維型 / Pgc1α / 飼料 / 肉色 |
Research Abstract |
牛肉の品質を決定する重要な要因の一つに肉色がある。筋線維は色調の異なる赤筋と白筋に大別できるので、飼養管理による筋線維型のコントロールは、消費者が好む肉色を意図して作出することを可能にする。Pgc1αは筋線維型決定において中心的な役割を果たす転写調節因子である。Pgc1αの機能制御は転写を介した発現量の調節によっても行われていることから、本研究は、Pgc1α遺伝子の転写調節を可能にする飼料因子の同定と、その飼料因子による筋線維型のコントロールを目的としている。 研究初年度にmouse Pgc1αの転写上流域をルシフェラーゼ遺伝子上流に組み込んだレポーター遺伝子(Pgc1α(-2553)-luc)を構築した。このリポーター遺伝子を筋芽細胞株であるC2C12細胞に導入し、33種類の飼料のエタノール抽出物の影響を検討した。その結果、中国茶とほうじ茶葉抽出物中にレポーター遺伝子の発現量を抑制する活性があることが判明した。茶葉よりもむしろ茶殻、ならびに茶殻サイレージの方がウシの飼料源として現実性がある。そこで、これらの茶葉副産物のエタノール抽出物の効果を調べたところ、とくに茶殻サイレージにPgc1α遺伝子転写抑制活性があることが判明した。Pgc1α mRNA発現に及ぼす影響を検討するため、ラット足底筋より筋衛星細胞を単離し、筋管細胞への誘導時に茶葉副産物抽出物を添加したところ、転写活性の変化と同様、茶殻サイレージ抽出物にPgc1α mRNA発現抑制活性があること、また、茶殻にも同様の活性があることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初予定していた計画通りに進んでいる。 スクリーニングの結果、Pgc1α遺伝子発現を制御し得る飼料を同定できたことは、研究の方向性を決定する上で有効であった。つまり、茶殻副産物の影響をより詳細に検討すること、ならびに、肥育牛に対する給与試験を実施することの意義が明確になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度供試した飼料に加え、Pgc1α遺伝子発現を制御し得る飼料のスクリーニングを進める。 とくに茶殻サイレージがPgc1α遺伝子発現抑制活性を有していたので、サイレージの調製法の違いがPgc1α遺伝子転写、ならびに、mRNA発現に及ぼす影響を検討する。 また、Pgc1α転写抑制を引き起こすcis配列の決定を行うことにより転写抑制機構の検討も行う。 さらに、肥育牛を用いた給与試験も実施し、茶殻サイレージに筋線維型を調節する機能があるかどうかを検証する。
|