2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅村 孝司 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任教授 (00151936)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 狂犬病 / 鞘内免疫 / 脳免疫 / 固定毒 / 治療実験 |
Research Abstract |
不治の病である狂犬病の治療法開発を目的として本研究を行っている。これまでに7名が狂犬病発症後も生存し、いずれのヒト症例の脳脊髄液にも高値の中和抗体が証明されたことから、狂犬病を発症しているウサギの脳脊髄液中に狂犬病ワクチンを直接投与(鞘内免疫)し、狂犬病の治療を試みるとともに、その治療メカニズムの解明を試みた。その結果、狂犬病発症後鞘内免疫を施したウサギは100%生残し、生残例ではごく少量の狂犬病ウイルス抗原が脳に認められたが、ウイルス遺伝子は消失しており、狂犬病ウイルスを神経組織から排除することが出来た。また、生残したウサギの脳脊髄液中には高力価の中和抗体が誘導されていた。この実験結果を1報の論文として発表し、現在、2報目を投稿中である。しかし、(1)生残ウサギの中枢神経組織の損傷が重篤で、完全治癒には至らなかったこと、(2)鞘内免疫の前に皮下免疫を行う必要があったこと、(3)攻撃ウイルスとして街上毒ではなく、神経病原性固定毒を用いた、等の制限があり、完全な治療法開発には至っていない。しかし、狂犬病発症後回復したヒト症例のほとんどで重篤な後遺症が残ったこと、本治療法は暴露前あるいは暴露後ワクチン接種を受けた個体に適用可能であること、街上毒による狂犬病では神経組織の壊死/アポトーシスと脳炎が固定毒に比べて軽微であることから、今回我々が示した鞘内免疫による狂犬病の治療法が、将来、より完全で安全な狂犬病治療法の確立に発展する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に街上毒(野外で発生している狂犬病の原因ウイルス)を用いた治療実験を終了するつもりであったが、本実験は我が国の限られた研究機関(国立感染症研究所と大分大学医学部)でしか実施できないため、その準備に時間がかかった。さらに、街上毒接種から発症までの潜伏期間が長期かつ個体によって不安定なため、陽性対照実験がうまく行かなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年4月中旬から街上毒を用いた治療実験を再開する。前回はウイルスをウサギの後肢筋肉内に接種したが、ウイルスが末梢神経を経て脳に到達する期間が長く、かつ不安定であった。そこで、今回は鼻腔粘膜にウイルスを接種する。鼻腔深部粘膜には神経細胞の一種である嗅細胞が広く分布しており、嗅粘膜に接種されたウイルスは短期間で脳の嗅球に到達することをマウス実験で確認したので、この接種ルートを用いることにした。
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Research Products
(3 results)