2011 Fiscal Year Annual Research Report
増殖欠損ウイルスを応用した次世代・狂犬病ワクチンの開発
Project/Area Number |
23380179
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉山 誠 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80196774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20334922)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / ワクチン / 増殖欠損ウイルス / Mタンパク質 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、狂犬病ウイルスの遺伝子操作系を用いて増殖欠損型ウイルスを作出し、安全性の高い犬用ワクチンを開発・実用化することである。本年度は、当初の計画に従い、増殖欠損型ウイルスの作出に使用するウイルス株の選定、ならびに選定されたウイルス株の遺伝子操作系の確立を行った。また、本系を用いて、子孫ウイルス粒子の形成に重要なM蛋白質をコードするM遺伝子を欠損した、増殖欠損型ウイルスの作出を試みた。 最初に、野生動物の経口生ワクチンとして使用実績のあるERA株をワクチン開発の基盤として用いることを決定した。ERA株のゲノム塩基配列をダイレクト・シークエンス法により決定した後、T7プロモーターの下流、自己切断型リボザイムcDNAの上流に同株の完全長ゲノムcDNAをクローニングし、ゲノム・プラスミドを作製した。同プラスミドと、N、P及びL蛋白質を発現するヘルパープラスミドをT7RNAポリメラーゼ恒常発現BHK細胞に共導入することにより、組換えERA株の回収に成功した。また、G遺伝子上に既知の弱毒化変異を導入したゲノム・プラスミドを同様に導入することで、マウスに対する致死性を完全に失った弱毒株を作出することができた。以上のように、本年度は、ERA株の遺伝子操作系を確立することができた。さらに、この遺伝子操作系を用いて、M遺伝子を欠損した増殖欠損型ウイルスの作製にも成功した。現在、本ウイルスの生物性状や弱毒化を確認すると共に、本ウイルス増殖用のM蛋白質恒常発現細胞の樹立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワクチンとして実績にあるERA株を用いて、候補株となる増殖性がないM遺伝子欠損ウイルスの作出に成功した。増殖欠損ウイルスを増やすために必要なMタンパク質恒常発現細胞の作出が少し遅れている一方で、さらにワクチンの安全性を担保するため、M遺伝子欠損ウイルスに弱毒化に関連する遺伝子変化を付与することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Mタンパク質に細胞毒性が認められるため、Mタンパク質の恒常発現細胞の作出に工夫をしていきたい。安定して作出できたM遺伝子欠損ウイルスの安全性及び免疫原性についてマウスのモデルを用いて検討を進める。
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Research Products
(2 results)