2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミエリン変異ラットを用いたミエリン修復・再生ダイナミックスの解明と治療戦略の構築
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23380180
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20244668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山手 丈至 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50150115)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脱髄 / ミエリン / オリゴデンドロサイト / ミトコンドリア / 多発性硬化症 / モデル動物 / 再生 |
Research Abstract |
【研究の目的】中枢神経系のミエリン病変を発症するミュータントラットを解析し,7週齢頃より急速に脱髄病変が進行するdmy ラット,軸索周囲の空胞形成およびミエリン低形成がみられるVFラット,ミエリン形成初期からのミエリン低形成を特徴とするmvラットを調べた.本年度は主に,dmyホモ型ラットにおいて顕著な発現増加を示すある遺伝子(遺伝子X)に着目し,その発現動態をそれぞれのミエリン形成異常の病態と比較検討することにより,ミエリン崩壊のメカニズムを解明することを目的とした. 【材料・方法】mvラットの白質と灰白質(4,6週齢),VFラットの白質と灰白質(4,10,20週齢), dmyラットの脊髄腹索,灰白質,背索(4,5,6,7,8週齢)よりmRNAを抽出し,real-time PCR法により遺伝子XのmRNA発現量を測定した.また,遺伝子Xの発現タンパク質に対する抗体を用いて,蛍光免疫染色法および免疫電顕法により,発現細胞の同定と詳細な細胞内局在を調べた.Western blotting解析により発現量を測定した. 【結果・考察】dmyホモ型ラットでは,対照ラットと比較して,遺伝子XのmRNA発現の著しい増加が認められた.また,その発現は4週齢から8週齢まで病変の進行に伴い上昇し,特に病変形成の著しい腹索における発現上昇が最も顕著にみられた.一方,mvラットやVFラットでは軽度の発現上昇がみられた.これらの結果から,遺伝子Xは,dmyラットにおけるミエリン崩壊に関与すると考えられた.当研究室のこれまでの研究結果から,dmyラットの病変進行過程には酸化ストレスが関与していることが示唆されている.以上より,遺伝子Xはdmyラットにおいて,酸化ストレスにより引き起こされるミエリン崩壊の病理発生に関与している可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はVFラットの交配が不調であったため,発症ラットの入手が遅れたが,今年度は順調に入手でき,VFラットの原因遺伝子に関する研究を進行することができた.現在,その研究成果を論文投稿中である.また,dmyラットにおいて病変進展に伴って著しい発現上昇を示す新たな遺伝子を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
VFラットの原因遺伝子の生物学的な役割をさらに詳細に検討するため,培養細胞系を用いて原因遺伝子に特異的なRNAiを添加することでその発現を抑制し,細胞の形態および機能変化を調べる予定にしており,その基礎的検討に着手した.
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