2011 Fiscal Year Annual Research Report
石油希少時代のイネ栽培における地表根形成の有用性に関する研究
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23380189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 雅志 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (40134043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 善通 独立行政法人国際農林水産業研究センター, プロジェクトリーダー (40399374)
宇賀 優作 独立行政法人農業生物資源研究所, 主任研究員 (00391566)
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Keywords | イネ遺伝資源 / 突然変異系統 / 地表根形成 / 不良土壌環境 / 量的遺伝子座解析 / 熱帯アジア地域 / 準同質遺伝系統 / 収量 |
Research Abstract |
平成23年度は、地表根形成に関わる遺伝子が座乗している染色体領域が組み替えられた準同質遺伝系統(Near Isogenic Line; NIL)を用いた、1)窒素やリン酸などの施肥制限圃場における生育および収量解析、2)圃場栽培による施肥養分の吸収および動態解析、3)冠根の伸長角度および分布の解析、4)QTL解析により検出された地表根形成に関わる第7染色体上の領域に座乗する原因遺伝子の単離に向けた絞り込みおよび原因遺伝子の生理機能解析、5)熱帯アジアの国々で広く栽培されているインド型イネ品種IR64への地表根遺伝子の導入を計画した。 1) 不良土壌環境圃場における栽培試験の結果、地表根を形成する変異系統は形成しない系統に比較して、収量および整粒歩合が明らかに高いことを見いだした。対照水田では、それらの収量に差異は認められなかった。 2) 施肥養分の動態解析にむけて、窒素制限圃場における栽培試験をおこなった。その結果、NILは戻し交配親系統と同等の収量であった。 3) 検出された第7染色体のQTL; qSOR1(Uga et al. 2012)の伸長特性を調べるために、NILと戻し交配親系統の伸張角度について調査した。 4) qSOR1の候補領域を当初の815kbよりもさらに絞り込んだ。 5) 熱帯アジアの国々で広く栽培されているIR64に交配によりqSOR1の導入をすすめた。さらに、リン欠耐性などの不良土壌環境耐性に関わるQTLの集積を交配によりすすめた。また、qSOR1だけでなく地表根突然変異系統が有している遺伝子の導入も開始した。 さらに、不良土壌環境圃場での有用性が認められたので、国際稲研究所の不良土壌環境水田での試験に向けて準備をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不良土壌環境圃場において地表根変異系統を用いた試験で、地表根の有用性が見いだされたことは、高く評価できる。地表根の有用性が発揮できる熱帯アジア地域の不良土壌環境圃場での試験研究に向けて国際稲研究所の研究者と交渉の結果、共同研究をすすめることになった点、共同研究にむけて熱帯地域で栽培されているイネ品種に地表根遺伝子の導入をすすめ準備をすすめることができた点も評価に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国内のリンや窒素欠乏などの不良土壌環境圃場において地表根の有用性が見られるものと判断して研究を開始したが、圃場環境の整備がすすんでいる国内の圃場では、その有用性が認めにくいことが示唆された。しかし、灌漑設備などの圃場の整備が遅れ、施肥や農薬散布量などが制限されている南および東南アジアの国々の圃場においては、地表根の有用性が発揮できると判断されたので、研究の方向性を国外のより劣悪な不良不良土壌環境圃場向けに集約することとする。
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Research Products
(3 results)