2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物-エンドファイトー内生バクテリア共生系を利用した新たな環境浄化技術の確立
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23380190
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 准教授 (90431650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
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Keywords | 根部エンドファイト / 共生 / 生態 / 内生バクテリア |
Research Abstract |
1. ストレス環境下で植物の生育を促進するDSEの選抜とその生態解明 供試植物としてCd吸収能に優れ、温暖な地域から寒冷な地域まで栽培が可能な植物であるスィートソルガムとナタネを選択した。まず、実験室内で、両植物の地上部バイオマスを増加させる菌株の選抜試験を行った結果、鹿児島県屋久島(亜熱帯)森林起源Veronaeopsis simplex, 茨城県阿見町(温帯)森林起源Helminthosporium velutinum. 及びカナダアルバータ州(亜寒帯)森林起源Phialophephala fortiniiの3種を宿主の生育を促進する根部エンドファイトとして選抜した。また、異なる温度条件での宿主への根部エンドファイト接種試験では,13^。CではP. fortinii, 23^。ではV. simplexの接種が最も高い生育促進効果を示し,接種菌株の生育至適温度に対応していた。以上より、異なる気候帯起源の菌株を使い分けることで幅広い地域での汚染土壌浄化の可能性が期待できる。 2. DSEと内生バクテリアの相互作用解明と有用バクテリアの内生手法の開発 選抜されたV. simplexには菌糸内部および外部にもバクテリアの存在が確認された。Terminal-restrictio fragment length polymorphism(T-RFLP)法によりこれらバクテリアの種構成を求めたところ、Pseudomonas属細菌とDelftia属細菌の存在が認められた。また、LIVE/DEAD[○!R]BacLight^<TM> Bacterial Viability Kitsで染色し,蛍光顕微鏡観察により観察した結果,内生バクテリア様の構造が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファイトレメディエーションは汚染物質による植物の生育阻害が生じ,回収効率が低下する問題のため普及が進んでいない.本年度は、宿主の生育を促進する3種根部エンドファイトの選抜に成功した。本成果は、植物と共生関係を結び宿主への栄養供給などを行う根部エンドファイトを利用することでCd汚染土壌に対する新たなバイオレメディエーション技術の確立につながる。
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Strategy for Future Research Activity |
根部エンドファイト-植物共生系のCd吸収能は明らかになっていない.そこで今後は,選抜された3種根部エンドファイト及びエンドファイト接種植物のCd吸収量を求める必要がある.さらにCd汚染条件での浄化効果とそのメカニズム(Cd吸収促進と抑制)を明らかにし、利用法を開発する必要がある。
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Research Products
(12 results)