2013 Fiscal Year Annual Research Report
重金属環境下で有害化する植物アミロイド蛋白質の凝集及び毒性発現メカニズムの解明
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23380192
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
原 正和 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (10293614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀池 徳祐 静岡大学, 農学研究科, 准教授 (20535306)
河岸 洋和 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (70183283)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 天然変性蛋白質 / デハイドリン / 重金属 / アミロイド |
Research Abstract |
本研究代表者は、植物にHis型金属結合ペプチドという新しいカテゴリーの金属キレーターが存在することを見出した。そして、本ペプチドのアミロイド化が、そのペプチド含量がある限度を超した場合には、通常植物体内の金属毒性を助長し、金属感受性を高めているという作業仮説を立てた。本年度は、植物アミロイドの凝集と毒性発現メカニズムの解明に専念した。 大項目②小項目Bの実施:アミロイドβペプチドが金属によって凝集し、アミロイドになると、活性酸素種(ROS)、特にヒドロキシルラジカルを盛んに発生し、それが神経組織の様々な分子を傷つけ、アルツハイマー病を引き起こすというメカニズムから、シロイヌナズナのアミロイド候補タンパク質AtHIRD11に関し、インビトロで銅によるROS発生をモニターした。インビトロ試験の結果、AtHIRD11と銅の混合比率が前者に偏る場合、AtHIRD11は既知のポジティブコントロールと比べて効率よく銅のROS発生を阻害した。この時、凝集体の形成は見られなかった。一方、混合比率が後者に偏る場合、AtHIRD11は、顕著に凝集し、かつ、フリーの銅と同じ程度のROS発生を示した。ROSの発生は、凝集により局所化するため、細胞へのダメージが深刻化すると推察された。以上の結果は、植物において、アミロイド様タンパク質の過剰な凝集化が金属感受性を高めるという本研究の仮説を肯定するものである。 本年度の計画として、His含量の異なるデハイドリンAtHIRD11変異タンパク質の調製を挙げた。現に、His含量が0%のH/A変異タンパク質、20%に強化したHrich変異タンパク質など、合計4種類の変異タンパク質の調製に成功した。 以上、研究は順調に進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物の推定アミロイド様タンパク質AtHIRD11に関し、重金属との凝集反応が過剰になった場合、植物の金属感受性が高まるとの仮説を証明することを目的とした。インビトロでの凝集性、ラジカル発生制御について調査し、仮説に即した成果が得られた。また、計画していた変異タンパク質の調製にも成功した。総じて、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究により、植物アミロイド候補タンパク質AtHIRD11の物性を詳細に研究し、凝集反応と重金属由来のROS発生とが、リンクしている実態を把握できた。これは、当初仮定していた論脈に即した結果であり、今後も、計画通りに進めてゆきたい。
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Research Products
(6 results)