2014 Fiscal Year Annual Research Report
重金属環境下で有害化する植物アミロイド蛋白質の凝集及び毒性発現メカニズムの解明
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23380192
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
原 正和 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (10293614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀池 徳祐 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20535306)
河岸 洋和 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (70183283)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然変性蛋白質 / デハイドリン / 重金属 / アミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、植物にHis型金属結合ペプチドという新しい概念の金属キレーターが存在することを見出した。そして、本ペプチドのアミロイド化が、そのペプチドがある限度を超えた場合には、通常植物体内の金属毒性を助長し、金属感受性を高めているという作業仮説を立て、研究を行っている。 ◆大項目②小項目B 金属存在下でのAtHIRD11の毒性に関する調査 植物アミロイド毒性の実証にむけ、計画通り、インビボ試験を実施し、次の成果を得た。シロイヌナズナとタバコのAtHIRD11高発現株を、銅含量を変化させた(25~125μM)培地で培養すると、低濃度(25μM)では、AtHIRD11高発現株は、野生株より4割程度成長が促進されたが、高濃度(125μM)では、野生株と同程度かやや低い成長量となった。また、チオバルビツール酸反応性物質についても、低濃度域と高濃度域とで、同様の差が表れた。これらの結果から、AtHIRD11は、低濃度の銅培地で栽培された植物体内では、銅毒性を緩和する働きをするが、高濃度の銅培地では、銅毒性が助長される可能性が示唆された。 ◆大項目③小項目A シロイヌナズナにおける植物アミロイド候補遺伝子データベースの構築 植物の既知デハイドリン40配列からなるライブラリーを、天然変性蛋白質予測ソフトIUPredで解析し、植物アミロイド候補ドメインを8種類選出した。すべてにおいて、低濃度の銅では活性酸素種の発生が抑制されたが、3種類のペプチドは、銅とともに凝集した。その凝集ペプチドは活性酸素種を発生したので、空間的な凝集点で、局所的に活性酸素種を発生させる、植物アミロイドの毒性を説明する現象であると考えている。 ◆成果の発表 本年度は、デハイドリンに関する新たな仮説を紹介するレビュー2報を始め、論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である、高濃度重金属条件下での植物アミロイドの毒性を実証した。昨年度のインビトロでの毒性確認に引き続き、今年度は、インビボでの毒性も確認された。さらに、デハイドリンライブラリーからのアミロイド様金属凝集配列が特定された。以上、概ね計画に即した成果が得られているため、本達成度とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの経過で、高濃度の重金属(特に銅)環境下で、デハイドリンがアミロイド様の凝集性と毒性を発揮することが、インビトロ、インビボの各試験で示された。次年度は最終年度であるため、未実施の試験結果を整える(His/Ala置換シロイヌナズナの重金属生理、ハイパーアキュムレータースラスピにおける対象遺伝子発現)。合わせて、成果発表の年とし、植物アミロイドのアイデアを盛り込んだ書籍を刊行し、Webで研究内容を紹介する。
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Research Products
(7 results)