2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380193
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
矢野 勝也 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00283424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 英樹 山口大学, 農学部, 准教授 (90346578)
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Keywords | リン / 種子 / 土壌 / 肥料 / プライミング / 環境調和型農林水産 / 植物 / 穀類 |
Research Abstract |
コムギ・オオムギ・ダイズを対象に、各種リン酸溶液(ナトリウム塩・カリウム塩・アンモニウム塩)を用いてリン富化種子を作成し、その発芽率を調査した。 コムギを0.2M~0.6Mの各種リン酸溶液に浸漬した結果、酸性リン酸溶液の方がアルカリ性リン酸溶液よりも発芽率の低下は緩やかであった。用いたコムギ品種の中では、ニシノカオリの発芽率の低下が最も緩やかであった。また、ニシノカオリは再乾燥処理による発芽率への影響も小さかった。ただし、イワイノダイチとタマイズミでは再乾燥処理による発芽率の低下が認められた。ニシノカオリをさらに高濃度の0.8M~1.2Mの酸性リン酸溶液に浸漬して再乾燥処理を行った結果、0.8Mにおいても発芽率は低下しなかった。 オオムギを0.2M~0.6Mの各種リン酸溶液に浸漬した結果、アンモニウム塩を除きリン酸溶液の濃度が高くなっても発芽率は低下せず、また再乾燥処理による影響も認められなかった。さらに高濃度のリン酸溶液に浸漬しても同様で、1.2Mでも全く発芽率低下が起こらなかった。 ダイズを0.2M~0.6Mのリン酸溶液に浸漬した結果、アルカリ性リン酸溶液では全く発芽せず、酸性リン酸溶液のうちナトリウム塩とカリウム塩で発芽率が比較的高く維持された。また再乾燥処理を行った種子では発芽率の低下傾向が顕著で、0.4M以上の濃度ではほとんど発芽しなかった。しかし、再乾燥期間が短い方が発芽率の低下程度は小さかった。そこで種子の再乾燥処理は出来るだけ短時間(12時間)にし、0.2M~0.4Mのナトリウム塩とカリウム塩でさらに調査した結果、カリウム塩の方が発芽率の低下傾向は緩やかであった。 以上の結果、コムギ・オオムギ・ダイズにおける適切なリン富化条件をおおよそ把握することができたので、リン富化種子による肥料削減効果を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、各種リン酸塩を用いて、リン富化種子作成条件を探索する予定であった。コムギ・オオムギ・ダイズを対象に条件探索を順調に進めることができたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成したリン富化種子がリン施肥量の削減にどれだけ有効なのかを評価する。すでにコムギでは、その栽培試験を一部開始しているが、さらにダイズでもその効果を評価する予定である。
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