2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒プロセスを用いる芳香複素環の脱プロトン化修飾反応
Project/Area Number |
23390002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義則 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90162122)
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Keywords | 有機触媒 / 芳香複素環 / 分子変換 / 分子活性化 / ホスファゼン / 脱プロトン / 部位選択性 / 有機ケイ素 |
Research Abstract |
ホスファゼンP4塩基を用いる芳香複素環の脱プロトン化については、すでに含窒素芳香複素環の脱プロトン化-修飾に成功しており、LTMPなどを用いる従来のキレーションによる速度論支配のリチオ化とは異なる興味深い部位選択性を示し、芳香複素環上の環プロトンの酸性度の高さを反映して炭素アニオンが生成することが示されている。触媒反応開発としては芳香族有機ケイ素化合物を用いて検討を行い、芳香環上の炭素-ケイ素結合の活性化に成功した。有機ケイ素化合物を触媒反応の活性化剤として用いることを考え、種々検討した結果、有機ケイ素添加剤により、脱プロトン化剤を再生することを見出した。そこでさらにこれらの反応を発展させ芳香環の触媒的な脱プロトン化への展開を検討した。脱プロトン化のプロセスで発生するホスファゼニウムをいかにP4へと再生させるかが触媒化への鍵となるが、有機ケイ素化合物を用いることで触媒サイクルが成立することを芳香族ヘテロ環を基質として見出した。プロピニルシランが現時点では最も効果的であることが明らかになっているが、その機構の詳細は今後の課題であり、また反応条件等についてもさらに最適化が必要である。他の親電子剤との反応については、ピバルアルデヒドの1,2付加およびエノンについても1,2付加が進行することが明らかになっている。ベンゾチアゾール以外の芳香族ヘテロ環についても進行しうること、また官能基の共存が可能であることが示唆されており反応の適用範囲を明らかにした。また芳香環の重水素化体は、医薬品開発において薬物の体内動態の研究に用いられ、また反応機構の解析において重要であるが、ホスファゼン塩基触媒と重水素化溶媒との処理により容易に部位選択的に導入可能であることが見出された。さらにこれまでに知られていなかった全く新しい脱プロトン化のための試薬としてオニウムアミド塩基を開発した。従来は金属アミドが用いられてきたが、金属カチオンをアンモニウムやホスホニウムなどのオニウムに置き換えることにより新しい化学が展開できることを明らかし、今後の展開の端緒を創ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した研究計画に従って実験を行い良好な結果が得られ、新たな展開の土台を構築することができた。今後細部を詳細に検討することにより体系化していくことができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画したとおりに研究を推進することができる見込みを初年度に得ることができたので、計画は変更せずに着実に遂行していく予定である。
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Research Products
(4 results)