2011 Fiscal Year Annual Research Report
高効率触媒的合成プロセスの開発研究と天然物合成への応用
Project/Area Number |
23390003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | 触媒反応 / 不斉合成 / フェノール / スピロシクロヘキサジエン / Friedel-Crafts型反応 / ホスフィン配位子 / 不斉アジリジン化反応 / アジェラスタチンA |
Research Abstract |
本研究では高効率触媒的なプロセスの開発と天然物合成への応用を検討した。はじめにこれまで報告例のないフェノールのパラジウム触媒ipso-Friedel-Crafts型アリル位置換反応によるスピロシクロヘキサジエンの不斉合成および芳香族の不斉アルキル化反応を検討した。フェノールのパラ位にアリルメチルカーボネートを有する基質からスピロ[4,5]デカ-6-エン-8-オンが高収率に得られる。フェノールのメタ位に置換基を有する系から2種のジアステレオマーが9:1程度の選択性で得られた。この反応を不斉合成化する目的で種々のホスフィン配位子を試したところ、米国のトロストらが開発した不斉ホスフィン配位子が最適で、90%eeという高いエナンチオ選択性を実現することができた。この反応をフェノールのメタ位にアリルメチルカーボネートを有する基質からは2環性フェノールが高収率、中程度のエナンチオ選択性で得られた。新反応系としていくつかの予備的な実験を行った。一つはビフェニル構造の一方がフェノールで他方にアリルメチルカーボネートを有する基質である。この場合ipso-Friedel-Crafts型アリル位置換反応に付すと9,10-ジヒドロフェナントレンが得られる。実際に高収率に進行することが判明した。もう一つはインドールから容易に生じるインドレニンを求電子種とするipso-Friedel-Crafts型反応である。この反応ではこれまでにない転位反応を見つけることが出来た。現在、一般性、適用範囲を見ている。 本研究の一環として不斉アジリジン化反応の開発も行った。環状エノンの不斉アジリジン化反応はほとんど報告が無く、これが実現すれば種々の応用が可能である。トシルオキシカルバメートを窒素求核剤として用い、フェニレンジアミン誘導体を触媒として、不斉アジリジン化反応を行ったところ、安息香酸ナトリウム存在下で反応は円滑にかつ高選択的に進行することを見つけた。この反応の応用としてアジェラスタチンAのエナンチオ選択的全合成行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ipso-Friedel-Crafts型アリル位置換反応は現在、2報論文をまとめ国際誌に投稿し、本報告には間に合わなかったがminor revisionでほぼ受理の状態にある。不斉アジリジン化反応では既に国際誌に1報が受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ipso-Friedel-Crafts型アリル位置換反応ではパラジウム触媒による方法と並行してルイス酸触媒での反応も検討する。また、スピロヘキサジエンはジエノン-フェノール転位により、2環性フェノールが得られるはずであるのでこの反応も検討する。不斉アジリジン化反応では生物活性天然有機化合物の合成へ更に応用展開を図りたい。
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