2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20227060)
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Keywords | perophoramidine / ダブルシアノアミド化反応 / カルボジイミド / ヨウ化サマリウム / 4級スピロ炭素骨格 / Caprazamycin B / β-ヒドロキシカルボン酸 / グルタル酸モノエステル |
Research Abstract |
perophoramidine の全合成研究:今年度は2つの合成戦略を検討した。まず重要中間体であるトリプタミン2量体のジアステレオ選択的合成に関しては、鍵反応である①ダブルシアノアミド化反応の原料基質の合成に手間取り、期間中に実施することはできなかった。一方、カルボジイミドを分子内にもつ環状不飽和アミド体への一電子還元を利用した4級スピロ炭素骨格とアミジン構造の一挙構築反応に関しては、種々条件検討を行った結果、一電子還元試薬としてSmI2 を用いることにより、収率良く所望の閉環反応が進行することを明らかにした。さらに、α位にアリール基を有する不飽和ラクタム類縁体を合成し、同様の条件下SmI2還元を行うことで、α位にアリール基が置換したスピロ体を高収率かつ単一化合物として合成することにも成功した。その後、パラジウム触媒と塩基を用いてアミジン窒素の分子内アリール化反応に附すことにより、五環性化合物まで誘導することができた。 Caprazamycin B の全合成研究:天然物上部に存在する2つのキラルフラグメント(β-ヒドロキシカルボン酸、グルタル酸モノエステル)を、それぞれβ-ケトエステルの不斉水素化(野依法)と双官能基性有機触媒を用いたグルタル酸無水物の不斉非対称化を利用することにより収率良くまた短行程で合成することができた。さらに、下部caprazolについては、モデル実験として単純なアミドアルキンに対する遷移金属触媒(Au,Pt,Bi etc.)を利用した分子内ヒドロアミド化反応を精査し、置換基効果とともに6-exo体と7-endo体の作り分けにも成功し、目的とする4,5-dihydro-1H-1,4-diazepin-2(3H)-oneへと誘導した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Perophoramidine の全合成研究に関しては、予定通り2つの合成戦略を検討できた。ダブルシアノアミド化反応については原料基質の合成ができずに鍵反応を検討することはできなかったが、SmI2 を利用した4級スピロ炭素骨格とアミジン構造の一挙構築とパラジウム触媒による分子内アリール化反応には成功し、目標とした五環性化合物まで誘導することができた。 Caprazamycin B の全合成研究に関しては、天然物上部に存在する2つのキラルフラグメント(β-ヒドロキシカルボン酸、グルタル酸モノエステル)を収率良くまた短行程で合成した。下部caprazolについては、モデル基質を用いて6-exo体と7-endo体の作り分けにも成功し、目的とする4,5-dihydro-1H-1,4-diazepin-2(3H)-oneへと誘導した。 このように全ての計画を実施することはできなかったが、ルートや試薬を変更することにより、当初の目標をすべて達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Perophoramidine の全合成研究に関しては、目標とした五環性化合物まで誘導することができた。しかし、連続する4級炭素構築までは達成したものの、アミジン基の保護基(PMP)の脱保護には成功せず、全合成には至らなかった。今後は、窒素上の保護基を変更できる第3の合成ルートを企画し検討する予定である。すでに上部側鎖の合成には成功したので、残る下部caprazolの構築を目指して、今回確立した7-エンド環化を本番の基質に適用する。これに成功したあとは、カプラゾールの全合成に移る予定である。
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Research Products
(16 results)