2012 Fiscal Year Annual Research Report
アセタールの化学の新たな展開:カチオン種の生成とその高次利用
Project/Area Number |
23390005
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 弘道 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10173410)
|
Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
|
Keywords | アセタール / カチオン性塩 / bis-THF / アセトゲニン / 2‐デオキシ糖 / 立体選択的 |
Research Abstract |
1)アセタールの分子内ハロエーテル化により生成するキラルカチオン中間体を経る反応:申請者の開発したbis-THF骨格立体選択的構築法を用いて、強い抗腫瘍活性を持つアセトゲニンであるcalorin Aの提唱構造化合物を合成し、その化合物が文献のデータと一致しないことを明らかとした. 2)アセタールのR3SiOTf-塩基処理により生成するカチオン性塩を経る反応 2-1.申請者は昨年度の本研究で,MOM基やメチレンアセタール基から生成するカチオン性塩へ,種々のアルコール(MeOH, BnOH, TMSCH2CH2OH)を求核置換させ,出発基質から一工程での他の保護基への直接変換に成功した.今年度はMOM基由来のカチオン性塩に有機銅反応剤を反応させることにより、炭素求核種の導入に成功し,多くの医薬品や天然物中に見られるエーテル構造の効率的な合成法を開発することができた. 2-2.混合アセタールから選択的にカチオン性塩を生成することに成功しているので、このものの還元反応による水素置換反応を行い,エーテル構造の効率的な合成法を開発できた. 2-3. 糖アノマー位への立体選択的求核種導入反応は様々な手法が開発されているが,殆どが2位官能基(アセタート等)の隣接基関与を利用している.申請者らは2‐デオキシリボースから様々なカチオン性塩中間体を発生させることに成功しているが,今年度はアジド基、シアノ基の立体選択的な導入に成功した.さらに6単糖でも検討し,高い立体選択性で求核種を導入することに成功し、2‐デオキシ糖への求核種の立体選択的導入手法を開発できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)アセタールの分子内ハロエーテル化により生成するキラルカチオン中間体を経る反応で行ったアセトゲニンであるcalorin Aの合成については、文献値とは一致しなかったものの,提唱構造化合物を合成できた. 2)アセタールのR3SiOTf-塩基処理により生成するカチオン性塩を経る反応 2-1.今年度はカチオン性塩への炭素求核種の導入に成功し,研究実施計画に書いたエーテル構造の効率的な合成法を開発することができた.2-2.混合アセタールから生成するカチオン性塩の還元反応に成功し,エーテル構造の効率的な合成法を開発できた. 2-3. これまで良い方法が少ない2‐デオキシ糖への求核種の立体選択的導入手法を開発できた.2-3.研究実施計画には無かったが,カチオン性塩にフッ素原子が導入できることを見出し、現在、アルキルアルコールのMOMエーテル由来のカチオン性塩へのフッ素基導入に成功し,いくつかのフッ化メチルエーテル化合物の合成に成功した. 以上のように、ほぼ研究実施計画通りに研究が進行している.
|
Strategy for Future Research Activity |
1)アセタールの分子内ハロエーテル化により生成するキラルカチオン中間体を経る反応 1-1.申請者は,昨年度の研究でアセトゲニンであるcalorin Aの文献提唱構造式の合成に成功したが,そのデータは文献値とは一致しなかった.そこで本年度はさらに研究を進める.1-2.これまでに得た知見を基に設計した基質の分子内ハロエーテル化を活かし,興味深い生物活性を示す中員環マクロライドやオキササイクリック化合物の合成法の開発を行う. 2)アセタールのR3SiOTf-塩基処理により生成するカチオン性塩を経る反応 2-1.昨年度の本研究で,アルキルアルコールのMOM基から生成するカチオン性塩へ,フッ素原子を導入することに成功した。そこで本年度は芳香族アルコールのMOMまたはその類似保護基へのフッ素原子導入を検討する。2-2.混合アセタールから選択的にカチオン性塩を生成し、その還元反応によるエーテル構造の効率的な合成法を開発したので,本年度はさらにその一般化を図る.2-3.2‐デオキシリボースから様々なカチオン性塩中間体を発生させ,求核種を導入することに成功しているので,今年度はさらに様々な求核種のβ選択的導入手法を開発する.
|
Research Products
(33 results)