2011 Fiscal Year Annual Research Report
汎用性の高いウギ反応の開発を基盤とする生理活性化合物の合成研究
Project/Area Number |
23390007
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
菅 敏幸 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10221904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱島 義隆 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (40333900)
浅川 倫宏 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (80571257)
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Keywords | Ugi反応 / TAN1251 / FR901483 / アルカロイド / 全合成 / 免疫抑制活性 |
Research Abstract |
TAN1251類は1991年に武田薬品工業の研究グループによりPenicillium thomii RA-89株の培養ろ液より分離され、ムスカリン受容体に対して親和性を有することが知られている。一方、FR901483(2)は1996年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)の研究グループによりCladobotryum sp. No.11231の発酵プロスより単離・構造決定され、免疫抑制活性を有することが知られている。TANI251C(1)、2の両アルカロイドは特異な3環性azaspirane骨格を有し、生合成的には、2分子のチロシンより生成すると考えられている。この両アルカロイドの特異な構造と優れた生物活性に興味を持ち、Ugi反応を用いての合成研究に着手した。 まず、L-チロシンから誘導した光学活性アミンとシクロヘキサンジオンモノアセタール体、当研究室で開発した臭わないイソニトリル、酢酸の4成分を用いたUgi反応によりα,α-二置換アミノ酸部分を有する縮合体を一挙に合成した。続いて、スピロラクタムの構築とカルボニルα位への高立体選択的なアミノ基の導入を行い、アミノ基のモノメチル化、ラクタムの還元、水酸基の脱保護を行った。最後に、水酸基の酸化により生じるアルデヒドとモノメチルアミノ基の脱水縮合によりdiazabicyclo[3.2.1]octane環を構築し1の全合成を達成した。一方、2の合成は1の合成中間体であるUgi反応生成物より開始した。すなわち、アセタール部の脱保護によりケトンとした後、一級水酸基の酸化によりアルデヒドへと変換した。続いて、酢酸と触媒量のピロリジンを用いた分子内アルドールを行うことでazabicyclo[3.3.1]nonane環を単一のジアステレオマーとして構築することに成功した。続いて、種々の官能基変換により2の全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の主体であるUgi反応を用いて、2種のアルカロイドの全合成を達成できたことは、満足のいく結果であった。さらに、本研究過程において、Ugi反応の新たな展開を予見する情報が得られている。今後の合成に大いに期待が出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、23年度の行っている検討め更なる検討を行う。これらに加えて、テロメラーゼ阻害作用を有するSB-203207とグルタミン酸受容体アゴニストである人工カイノイドのMFPAの合成を行う。これらの合成は、当研究室で見いだした不斉補助基を有するジアゾエステルにRh触媒を作用させるC-H挿入反応により光学活性な前駆体を合成し、ウギ反応によりアミノ酸構造を構築することが特徴である。
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Research Products
(3 results)