2012 Fiscal Year Annual Research Report
汎用性の高いウギ反応の開発を基盤とする生理活性化合物の合成研究
Project/Area Number |
23390007
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
菅 敏幸 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10221904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱島 義隆 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (40333900)
浅川 倫宏 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (80571257)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Ugi反応 / 全合成 / レモノマイシン / アルカロイド |
Research Abstract |
レモノマイシンは,放線菌より単離されメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) やバンコマイシン耐性腸球菌 (VRE) に対し強い活性を有することが報告されたイソキノリンアルカロイドである.このようにレモノマイシンは他のイソキノリンアルカロイド類と異なり,抗ガン作用以外にも近年問題となっている多剤耐性球菌に対する強い抗菌活性も有している.これは類似のアルカロイドには例をみない2,6-ジデオキシ-4-アミノ糖の効果が大きいことが提唱されている. レモノマイシンの合成は,A環部アミン,カルボン酸,アルデヒドを,研究代表者らの考案したイソニトリルを用いたUgi反応により連結する予定であった.種々検討の結果,望むUgi反応は円滑に進行しレモノマイシンに対応する骨格を構築できるものの,それぞれのユニットの合成及び,その後の官能基変換に多段階を要した.構造活性相関研究等を円滑に進めるため,短段階での全合成を指向して改良合成法を検討した. まず,アグリコンユニットである六つの立体中心を有する四環性化合物の合成を行った.この化合物の合成法として三つの鍵反応を用いた.すなわち,A環部 と光学活性なC環部をPerkin型の反応で縮合した後,ヘミアミナールに対して分子内Hosomi-Sakurai反応を行うことでCD環であるビシクロ [3.2.1] 骨格を完全な立体選択性で構築した.さらに, Pictet-Spengler反応により,B環を構築しアグリコンの合成に成功した.フッ化糖とのカップリングは,アグリコンの安定性を考慮し反応条件を検討した結果,ハードなルイス酸であるTMSOTfを用いることで達成しレモノマイシンの全合成を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の主体であるUgi反応を用いて,レモノマイシン主骨格の構築を達成できたことは,満足のいく結果であった.合成の短段階化を指向した結果合成経路の再検討を行いレモノマイシンの全合成を達成したが,本研究過程において,Ugi反応の新たな展開を予見する情報が多数得られている.今後の他の天然物合成とそれらの構造活性相関研究に大いに期待が出来る.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,24年度の行っている検討の更なる検討を行う.これらに加えて、テロメラーゼ阻害作用を有するSB-203207とグルタミン酸受容体アゴニストである人工カイノイドのMFPAの合成を行う.これらの合成は,当研究室で見いだした不斉補助基を有するジアゾエステルにRh触媒を作用させるC-H挿入反応により光学活性な前駆体を合成し,ウギ反応によりアミノ酸構造を構築することが特徴である.
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Research Products
(14 results)