2011 Fiscal Year Annual Research Report
スルホクリックの展開による生体系への多様な機能分子導入と応用
Project/Area Number |
23390024
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
畑中 保丸 富山大学, 事務局, 理事・副学長 (30111181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 順哉 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (50436789)
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Keywords | クリック反応 / スルホクリック / アシルスルホンアミド / チオカルボキシ基 / スルホニルアジド |
Research Abstract |
研究初年度となる23年度は主に、スルホクリック反応の反応基質となるチオカルボキシ基と類縁官能基について、その導入法や反応性などの基礎的知見を得る目的で、種々の誘導体を合成し、それらのスルホクリック反応について、次の3項目に関して検討を進めた。「1.スルホクリック反応基質の合成と反応性の検討」では、チオアミド基が新規なスルホクリック反応の基質となる新知見を得た。このため、検討対象にチオアミド基質を追加して検討し、この反応が緩和な条件で収率良く進行する事を確認した。この知見により、チオカルボキシ基に加えてチオアミド基が利用できることになり、初年度にして、次年度以降に繋がる価値ある成果を得ることができた。「2. 生体分子プローブの開発」では、当初の計画通りシアル酸カルボキシ基をチオカルボキシ基へ変換する諸条件を検討し、効率よく変換できる合成条件を見出した。この成果を元に、スルホクリック反応を利用したシアル酸型のバイオプローブを設計し、その合成を開始した。「3. タンパク質の機能部位解析への応用検討」では、「1.スルホクリック反応基質の合成と反応性の検討」で得られた知見を基に、チオアミド基を利用出来る形でのバイオプローブを設計し合成を開始した。H2 レセプターに対してはファモチジン誘導体を、ノイラミニダーゼに対してはシアル酸誘導体を、グリコシダーゼに対してはノジリマイシン誘導体をそれぞれ設計し、それらの合成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にして、チオアミドがスルホクリック反応の新規な基質となることを発見した。この知見は、単に新しい反応の発見にとどまらず、当初計画のチオカルボキシ基が化学的に不安定で酸化され易い欠点を補うものであり、本研究が目指す応用展開の見通しを大きく前進させるうえで非常に重要な成果をもたらした。繰り越し申請により計画を追加して検討する必要があったが、当初の計画を含めて目的を達成することで、チオカルボキシ基に加えてチオアミド基も利用しつつ研究を広範に展開する可能性が広がったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに発見した「チオアミドを用いた新規スルホクリック反応」の成果を活かし、今後の研究計画全般に反映させて、当初計画のチオカルボキシ基に加えてチオアミド基を利用した合成系・評価系を追加して検討する。また、新規クリック反応については、論文発表の前に特許を申請するための準備を合わせて進めることとする。
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