2012 Fiscal Year Annual Research Report
スルホクリックの展開による生体系への多様な機能分子導入と応用
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23390024
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
畑中 保丸 富山大学, 事務局, 理事・副学長 (30111181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 順哉 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (50436789)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クリック反応 / スルホクリック / アシルスルホンアミド / チオカルボキシ基 / スルホニルアジド |
Research Abstract |
23年度にチオアミド基がスルホクリック反応の基質となる新知見を見出した。この成果により、チオアミド基を用いることでアミジン骨格の一段階クリック形成が温和な条件で可能となる新しい可能性が開けた。したがって24年度は当初計画のチオカルボキシ基にチオアミド基を加え、注目されるスルホクリックの展開研究を世界に先駆けて推進する本研究の目的を達成するため、以下の項目について具体的に実験・検討を実施した。「1.チオアミド型スルホクリック反応の詳細な検討と応用展開」では、新規スルホクリック反応の scope & limitation に関して詳細に検討した。反応は室温、水中の緩和な条件で進行し、また脂肪族、芳香族、環状骨格など広範な置換基に対応できることを確認した。「2.タンパク質の機能部位解析」では、アスパラギン酸誘導体の光アフィニティープローブを、チオカルボキシ基を利用したスルホクリック反応にて合成し、GDH、GOT、GSynなどのタンパク質に対する親和性を評価した。さらに、解析段階の効率化のため、新しい方法論を確立し論文発表した。「3.新薬リード化合物の探索」では、社会的要請が高い抗インフルエンザ薬を念頭に、まずはシアル酸誘導体を優先してリード化合物の探索を開始した。まず、チオカルボキシ基またはチオアミド基を有するシアル酸遷移状態アナログを合成した。そしてチオカルボキシ誘導体には通常のスルホクリック反応を、チオアミド誘導体には新規スルホクリック反応を適用して、さまざまなスルホニルアジド誘導体とクリック連結し、新薬候補となる化合物ライブラリーの作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スルホクリック反応を利用したバイオプローブの作成は、ほぼ順調に進んでいる。また初年度に知見が得られたチオアミド型の新規スルホクリック反応も取り入れて、化合物ライブラリーの構築も計画に沿って順調に進んでいる。さらに、完成したバイオプローブを用いたタンパク質に対する評価を達成するとともに、解析段階を効率化する方法論を新たに開拓し、論文発表した。加えて、新規スルホクリック反応に関する特許取得のための出願書類の作成を終了し、順調に25年4月の出願に向けた学内手続きに入ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、当初のチオカルボキシ型クリック系より格段に優れる“チオアミド型クリック系”を見出した本研究の成果を最大限に活かすため、タンパク質や細胞そのものへの応用展開に集中し、広い範囲のバイオ研究に有用な新しいバイオ・創薬基礎技術として集約する。
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Research Products
(6 results)