2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学形態別分析に基づいたセレンの代謝過程と生理機能の解明
Project/Area Number |
23390032
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小椋 康光 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (40292677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿南 弥寿美 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (40403860)
八幡 紋子 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (00384636)
小泉 信滋 (独)労働安全衛生総合研究所, 研究企画調整部, 特任研究員 (80183325)
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Keywords | セレン / ICP-MS / スペシエーション / テルル / HPLC / LC-MS / セレノプロテイン / メタロチオネイン |
Research Abstract |
代表者は分子進化という観点から、生体内で抗酸化的な機能を果たすセレンや銅の代謝機構を明らかにし、必須元素が必須たる理由を探求している。その全体構想の中にあって本研究の目的は、化学形態別分析を主たる研究手法として、生体によるセレンや銅の代謝機構と生理作用の全容解明に迫ることである。セレンについては、元素の化学形態に着目し、高感度分析、同位体標識、分子種同定などが可能である質量分析法を用い、従来の手法では得ることが難しかった代謝過程の追跡やセレンタンパク質の新規の機能に関する情報を得ていく。一方、重金属である銅については、セレンと異なりタンパク質のリガンドとして生理作用の発現に寄与することから、銅結合タンパク質の発現・制御という観点からの検討も必要となる。類金属であるセレンを研究対象元素の中心に据え、重金属である銅との対比を行うことにより、セレンの特異的な代謝機構をクローズアップする計画である。 セレンは動物体内では最終的にセレン糖として尿中へと排泄されるが、その過程は明らかになっていない点が多い。本年度は、培養細胞を用いて、セレン代謝がどのように進行していくのか、セレンの代謝物を網羅的に解析するセレノメタボロミクスという観点から研究を実施した。その結果、無機の亜セレン酸として摂取されたセレンは、細胞種非特異的に共通の代謝物へと変換されることを突き止めた。現在、この代謝中間体の同定を引き続き実施している。またある種のセレン代謝物が他の重金属と相互作用を起こし、重金属の毒性を打ち消す可能性を見出しており、その分子機構に関する検討も行った。 研究遂行に必要な新規分析法として、微量金属スペシエーションを構築し、その有用性を評価するため、遺伝子改変細胞を用いた金属含有代謝物の分析を行った。手法として有用であることが確かめられたため、以降の研究に活用していくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞種に関係なく、代謝中間体として共通して存在する新たなセレン代謝物の検出に成功した。当初はこの代謝物を検出するにはもう少しの時間を要するのではないかと想定していたが、幸運にも検出できた。現在、同定に向けて新たな分析手法を構築している。一方、遺伝子改変動物の導入を計画していたが、入手に時間を要しており、一部培養細胞を用いて代替実験を開始した。以上のことから、平成24年度はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな計画の変更は予定していない。前年度に引き続いて精力的に研究を展開する予定である。一部の研究分担者が退職したが、人員の補充は切れ目無く行うことができたため、分担者の変更を行い、計画については変更無く実施する予定である。
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Research Products
(14 results)