2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳・腎薬物輸送におけるトランスポーターの分子実体の解明と機能の統合研究
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23390034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Keywords | 薬物動態 / 薬物トランスポーター / 血液脳関門 / 腎尿細管分泌 / 再吸収 / 内因性基質 / 薬物間相互作用 |
Research Abstract |
MATE阻害剤pyrimethamineの投与条件を見直し、従来よりも高い血漿中濃度を達成することができ、ほぼ完全にMate機能を阻害する条件を構築した。本条件を用いた結果、MATEにより細胞内から排出される薬物を複数同定することができ、腎尿細管分泌におけるMATEの重要性を示唆する結果を得た。Mate基質の1つであるH2受容体拮抗薬cimetidineについては、腎刷子縁膜ベシクルでは、pyrimethamineの阻害効果が認められるも、マウスin vivoでは、阻害効果は認められず、他の排出輸送機構(能動輸送)が関与しているものと考えられる。cimetidineは医薬品の腎排泄を阻害し、薬物間相互作用を生じる。これまで腎取り込み過程の阻害であると信じられてきたが、in vitro輸送実験・in vivo試験により、MATEによる細胞内からの排出輸送を阻害していることを明らかにした。Pyrilamineの取り込み輸送低下が認められたJvsマウス腎の発現プロファイルを野生型マウスと比較した結果、脂質代謝酵素ならびに刷子縁膜側のトランスポーターの発現変動が認められたが、オーファン・基底膜側トランスポーターの発現変動は認められなかったことから、mRNAレベルでの発現低下ではないことが示唆された。薬物トランスポーター阻害剤を投与した臨床検体中の代謝物を検索した結果、阻害剤投与により尿中排泄が低下する内因性代謝物を複数見いだした。新規腎特異的有機アニオントランスポーターNPT4が利尿剤など複数の医薬品を基質とすること、またHEK293細胞にてSLC16A9をノックダウンした結果、カチオン性薬物の取り込み低下が認められた。SLC16A9は腎・脳毛細血管に発現していることから、脳への薬物輸送に関与していることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OCT2・MATEを中心とした分泌機構を解析するための条件を確立し、新たな薬物トランスポーター分子に関する知見を得ることが出来、ほぼ計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した実験を条件に基づいて基質薬物のスクリーニングを実施するとともに、未同定のトランスポーターの探索をさらに進める。
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Research Products
(14 results)