2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアNa-Ca交換蛋白(NCLX)の構造と機能連関に関する研究
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23390042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 達 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (00263096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 綾子 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378704)
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Keywords | ミトコンドリア / カルシウム / 心筋細胞 / リンパ球 / Na-Ca交換 / 自動能 |
Research Abstract |
Bリンパ球において、ミトコンドリアNa-Ca交換体遺伝子(NCLX)をノックアウトまたはノックダウンすると、ミトコンドリアCa排出が著明に抑制されるのみならず、小胞体Ca含量減少、小胞体Caポンプ(SERCA)によるCa取り込みの減少、小胞体からのCaリークの増加がおこり、その結果、抗IgM抗体による細胞膜抗原受容体刺激で誘発される小胞体Ca放出は著明に抑制された。既存の-ミトコンドリアNa-Ca交換体阻害薬は、同様の効果をしめした。また、Bリンパ球のCa動態を再構築した数理モデルにおいても再現された。今年度はこの成果を論文発表した(Kim et al.Physiol.2012;590:459-74)。 自動能を有する興奮性細胞である株化培養心筋細胞(HL-1細胞)を用いて、NCLXの機能解析を進めた。NCLXはミトコンドリアに限局して発現し、NCLXのsiRNAによるノックダウンは、ミトコンドリアCa排出を抑制した。さらに、NCLXノックダウンは、細胞の収縮周期を長くした。この陰性変時作用は、細胞質Caトランジエント立ち上がり速度の減少と活動電位の緩除脱分極相(4相)の遅延に起因すると推測された。また、カフェインを用いて測定した筋小胞体Ca含量は減少していた。心房筋興奮-収縮連関の数理モデルを構築し、理論的解析を進めている。 NCLXの構造機能相関と細胞機能連関を調べるための変異体の作成、及びtwo-hybrid法を用いてNCLX機能を調節する蛋白・遺伝子を同定する準備も着実進めることができた。ミトコンドリア・(筋)小胞体コミュニケーションの数理モデル作成のための基礎データの収集を行い、数理モデルの骨格を構築するところまで進捗した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画は、ほぼ計画通りに遂行することができた。また、成果の論文発表、学会発表ともに十分に行うことができたため、「おおむね順調に進展している。」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
心房筋細胞モデルの構築がやや遅れているが、次年度中には完成することができると考える。現時点では研究計画の変更はしない。
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Research Products
(15 results)