2011 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞膜に共存する空胞型プロトンポンプと電位依存性プロトンチャネルの機能
Project/Area Number |
23390043
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00145773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 啓 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (90382192)
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Keywords | 生理学 / 生体分子 / 細胞・組織 / 生理活性 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞質からのプロトン排出を担う空砲型プロトンポンプ(V-ATPase)と電位依存性プロトンチャネル(H^+チャネル)の役割分担がどのように行われているのかを両者が共発現する培養破骨細胞で調べ以下の結果を得た。(1)V-ATPaseとH^+チャネルの応答切り替えと干渉:V-ATPaseのH^+排出能は-80~40mV,細胞内pH(pH_i)5.6-7.8と広いpHおよび電位領域で維持された。H^+チャネルの作動領域は限定的であったが、閾値より約20mV脱分極するとそのH^+排出能はV-ATPaseを凌駕した。VA-TPaseをbafilomycinでブロックすると2/3の細胞でpH_iの低下と共にH^+channelが増強し、同時に平均-40mVの脱分極が起こった。これらの結果はV-ATPaseがpH_i上昇と過分極を介し近傍のH^+チャネルの開閉を抑制的に制御していること示唆する。この制御効果は細胞内pHバッファー濃度を下げると大きくなった。(2)貧食過程におけるV-ATPaseとH^+チャネルの役割:zymosan粒子を投与すると膜電流が減少したが、主要イオンをNMDG-aspartateで置換したH^+電流測定用の溶液では貧食が起こらなかった。共焦点顕微鏡下ではFITCでラベルしたzymosanを用いてファゴゾームのpHの変動を経時的に検出できるようになった。現在、H^+電流と貧食過程を同一細胞でリアルタイムに観察できるシステムの構築を模索中である。(3)骨代替基質の開発:骨代替基質の候補である魚鱗上に破骨細胞を分化させ、V-ATPaseおよびH^+チャネル電流記録に成功したが、破骨細胞機能と密接に関連するアクチンリング形成状況は細胞によって異なり、機能との関連を見るためには、更なる改良が必要である。結果の一部は、生理研研究会、米国生物物理学会、日本生理学会大会などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pHや電位に依存したV-ATPaseおよびH^+チャネルの働き方の違いの定量的検討は、大凡当初の予定通り進んでいる。貧食過程の解析、骨代替基質の開発にも着手し、ホールセルクランプ下で"貧食"をどのように誘導するか、魚燐上で分化誘導を増大させるにはどうしたらよいかなど、問題点が具体化してきた段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
V-ATPaseとH^+チャネルによるH^+flux制御因子については、続行中のV-ATPase起電性の定量的検討に加え、H^+リーク、カウンターイオン、バッファーなど、もう一歩踏み込んだ解析を行う。また蛍光顕微鏡に振動の少ない励起光のシャッターコントロールシステムを追加し、様々な要因による内外pH環境の変動や貧食過程でのV-ATPase/H^+チャネルの電流記録に空間情報を加えて解析できる方法を工夫する。
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Research Products
(13 results)