2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390050
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (50136371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (10194490)
谷口 睦男 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (10304677)
村田 芳博 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (40377031)
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Keywords | 匂い / 学習 / 副嗅球 / 主嗅球 / 僧帽細胞 / 顆粒細胞 / 代謝型グルタミン酸受容体 / アセチル化ヒストン |
Research Abstract |
雌マウスに形成される交配雄フェロモンの記憶は、交配雄フェロモンシグナルと交尾シグナルが副嗅球において連合することによって特定の僧帽細胞と穎粒細胞との間の樹状突起間シナプスに誘導される可塑的変化に支えられている。しかし、副嗅球の僧帽細胞と穎粒細胞との間の樹状突起間シナプス伝達の制御機構については未だ不明な点が多い。そこで、我'々はマウス副嗅球のスライス標本を作製し、nystatin穿孔パッチによるwhole-cell clamp法を用いて各種薬物の相反性シナプス電流に対する効果を調べた。僧帽細胞に脱分極刺激を与えることにより生じる相反性シナプス電流、すなわち抑制性シナプス後電流(IPSC)は、代謝型グルタミン酸受容体mGluR2/mGluR3アゴニストであるDCG-IVの細胞外投与により顕著に抑制され、mGluR2/mGluR3アンタゴニストであるLY341495の細胞外投与により増加した。mGluR2遺伝子のノックアウトにより、DCG-IVおよびLY341495の相反性シナプス電流に対する効果は、それぞれ阻害された。活動電位の発生に伴って生じるIPSCは、LY341495存在下で増大した。この結果は、活動電位の発生により放出される内因性グルタミン酸がmGluR2を活性化することを示唆している。顆粒細胞に発生するmEPSCの大きさおよび発生頻度は、DCG-IVの細胞外投与により減少した。本研究結果から、mGluR2は僧帽細胞から穎粒細胞へのシナプス伝達を、シナプス前部とシナプス後部の双方に作用して抑制していることが示唆された。 新生ラットにおける匂い学習は、主嗅球の僧帽細胞と穎粒細胞の相反性シナプスが深く関わり、転写因子CREBの発現とそのリン酸化を介して成立する。今回、行動薬理学的手法を用いてCREBの下流にクロマチンを構成するヒストンのアセチル化が関わることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に従って副嗅球の僧帽細胞と頼粒細胞との間の相反性シナプス伝達における代謝型グルタミン酸受容体mGluR2活性化の機能を電気生理学的に、新生ラットにおける匂い学習におけるピストンのアセチル化の関与を行動薬理学的に明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
副嗅球の僧帽細胞と顆粒細胞との間の相反性シナプス伝達における代謝型グルタミン酸受容体mGluR2活性化の機能を明らかにしたので、今後は相反シナプス伝達の可塑性における機能を明らかにする予定である。行動薬理学的手法を用いて新生ラットにおける匂い学習におけるピストンのアセチル化の関与を明らかにしたので、今後は生化学的手法及び電気生理学的手法を用いて匂い学習におけるピストンのアセチル化の役割を検証する予定である。
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Research Products
(6 results)