2012 Fiscal Year Annual Research Report
摂食と社会行動の相互作用の神経機構:神経ペプチド仮説の検証
Project/Area Number |
23390052
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 友紀 自治医科大学, 医学部, 講師 (10418890)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 摂食 / オキシトシン |
Research Abstract |
肥満と社会的な孤立は悪循環を形成していることが疫学的なデータにより示唆されている。即ち、肥満すると社会行動が減少し社会的に孤立しやすくなり、逆に、社会的に孤立すると肥満し易くなると報告されている。また、肥満と社会的孤立は、共に、ヒトの寿命を短くする大きな要因となっていることも示されている。このように肥満と社会行動は社会的にも重要な因子であるが、その神経基盤は分かっていない。本研究の目的は、摂食と社会行動の相互作用の神経基盤が、申請者がこれまで明らかにしてきたプロラクチン放出ペプチド(PrRP)産生ニューロン-下垂体後葉ホルモン産生ニューロン回路系であるという仮説を検証することである。 24年度は、昨年度に引き続き摂食の時に活性化されるニューロンの同定を行った。その結果、摂食した時のみならず末梢の満腹物質であるCCKを末梢に投与すると、延髄のPrRP産生ニューロンが活性化するとともに、視床下部と分界条床核のオキシトシン産生細胞が活性化されることを最初期遺伝子の蛋白質産物であるFos蛋白質の発現で確かめた。このオキシトシン産生細胞の活性化あるいは末梢血中へのオキシトシンの放出は、摂食後の時のみならずCCK投与の時も、PrRPを欠損した動物では減弱していた。また、オキシトシン産生細胞はPrRP受容体を発現していて、PrRP局所投与によりオキシトシン放出が促進された。これらのデータは、摂食すると腸管からCCKが放出され、延髄のPrRP産生ニューロンが活性化され、その結果、視床下部と分界条床核のオキシトシンン産生ニューロンが活性化されることを示唆している。さらに、オキシトシン受容体欠損動物、PrRP欠損動物、CCK受容体欠損動物は、いずれも、一回に摂食する量が増加していることを考えると、CCK-PrRP-オキシトシン系が摂食により活性化され摂食を終了する機構であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摂食と社会的接触で共通して活性化されるニューロンの同定が計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、局所のオキシトシン産生ニューロンとバゾプレシン産生ニューロンを時期特異的に破壊するための方法論を確立させる。これにより、局所のオキシトシン産生ニューロンとバゾプレシン産生ニューロンの社会行動、ストレス反応、エネルギー代謝調節、摂食における働きを明らかにする。さらに、バゾプレシン産生ニューロンとオキシトシン産生ニューロンの上流に位置すると考えられるPrRP産生ニューロンを選択的に破壊する方法の条件検討を行う。
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