2011 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における一酸化窒素(NO)作動性神経の関与
Project/Area Number |
23390055
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70152337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 武史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00552093)
田和 正志 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10510274)
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Keywords | 一酸化窒素 / NO作動性神経 / 陰茎海綿体 / 平滑筋支配神経 / 生活習慣病 / 活性酸素 / 末梢神経 |
Research Abstract |
雄性自然発症高血圧ラット(SHR)および同週齢の対照動物であるWistar-Kyotoラット、(WKY)より脳動脈および陰茎海綿体を摘出し、マグヌス法を用いて経壁電気刺激およびニコチンにより神経刺激を行い、標本の等尺性張力変化を測定した。これまでイヌおよびサル脳動脈(論文1)で用いてきたマグヌス装置で同様にラット脳動脈の機能分析を試みたが、標本サイズの違いにより実験効率が予想以上に悪かったため、張力測定装置を改変あるいは変更することにした。他方、陰茎海綿体標本については、これまでイヌおよびサルで用いてきた装置でラット海綿体標本の実験が実施出来たため、今年度は主として陰茎海綿体を対象として実験を実施した。 WKYより摘出した陰茎海綿体標本に経壁電気刺激(10V,2-20Hz)を適用すると頻度依存性の弛緩反応が観察された。ニコチン(100μM)の適用によっても同様に弛緩反応が観察された。両反応は共に充分量のNO合成酵素阻害薬ならびにナトリウムチャネル阻害薬であるテトロドトキシンで消失したことから、同海綿体標本にはNO作動性神経が分布し、優位に機能していると考えられる。他方、SHRより摘出した陰茎海綿体標本では、経壁電気刺激およびニコチンの適用により収縮あるいは軽度の弛緩反応が観察された。収縮反応はα1遮断薬のプラゾシンで抑制されたことから、SHRの陰茎海綿体では、WKYで優位に機能しているNO作動性の海綿体拡張神経が著明に抑制され、生理的に拮抗するノルアドレナリン作動性の収縮神経機能が観察されたと考えられる。NOドナーによる海綿体弛緩反応にはWKYとSHRの間で差が無かったことから、SHRでは海綿体平滑筋に分布するNO作動性神経に機能障害が生じていると考えられ、慢性高血圧状態における勃起障害の一因と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災関連による予算措置の影響とラット脳動脈における機能実験の実験効率が予想より良くなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
NO作動性神経は多くの平滑筋組織に分布しているが、優位に分布している組織として脳動脈と陰茎海綿体を選択して対象臓器とした。しかし、上記に記載したようにイヌやサルとは異なりラット脳動脈での実験効率が悪いため、陰茎海綿体を中心とした実験を推進する。
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