2012 Fiscal Year Annual Research Report
心不全における慢性炎症成立機構の解明と新規治療標的の探索
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23390057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20359839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 博之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40581062)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 炎症 / 心不全 |
Research Abstract |
心不全において、慢性炎症が重大な増悪因子であると考えられているが、急性炎症が慢性化するメカニズムは依然不明である。一方、ウイルス性心筋炎をはじめとした心筋炎の多くは、急性期には著しい炎症細胞の浸潤と細胞外基質の沈着を認めるものの、その後、炎症は消退し、慢性化することなく自然治癒する。これまで我々は、自然治癒する心筋炎症のモデルである実験的自己免疫性心筋炎(Experimental Autoimmune Myocarditis、EAM)モデルを用いて、EAMの発症には、IL-6によるRORγtを介したTh17細胞の誘導が必須であることを示してきた。今年度は、自然治癒のメカニズムを解明することを目的に、EAMにおけるTreg/Th17バランスに着目して研究を行った。その結果として以下の知見を見出した; ①心筋炎の進行に伴って、Th17細胞とともにTreg細胞が心筋組織の中に浸潤すること ②心筋組織に浸潤したTregは、心筋炎症を抑制すること ③Tregの心臓への遊走は、炎症反応非特異的なものではなくTh17細胞依存性であること。 以上のことから、心筋炎の自然治癒には、TregとTh17の細胞間相互作用が重要であることが示された。これらの成果は、これまで不明であった臨床における心筋炎の治癒メカニズムを提案するという重要性を有している。また、上記の自然治癒機構の破綻が、心筋炎の慢性化の原因となると予想され、心筋炎症の慢性化メカニズムの一端を明らかにするものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果は、心筋炎の自然治癒機構を解明したものであり臨床的にも基礎科学的にも価値が高い。また、Th17細胞とTreg細胞との新らたな相互作用を明らかにした点で、循環器領域のみならず、他の研究領域に貢献しうるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は以下の2点である; ①心筋炎の自然治癒の破綻を惹起しうるサイトカインを同定する ②心筋炎との比較のもと、自然治癒しない炎症である心筋梗塞後炎症におけるTregの動態を検討する。
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Research Products
(10 results)