2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死抑制因子の動態に基づいたアルツハイマー病克服への試み
Project/Area Number |
23390059
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松岡 正明 東京医科大学, 医学部, 教授 (70222297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 俊彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (10246168)
馬原 孝彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70266477)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒューマニン / アルツハイマー病 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)に対するヒューマニン(HN)/EHシグナル活性化療法の臨床応用をより有効なものにするための基礎研究と前臨床研究の2年目を遂行した。まず、EHの基礎研究(HN/EHに関連する未解決な生物学的問題に対する基礎研究)に関しては、1)このシグナルが活性化するSTAT3の下流に存在し、このシグナルのeffectorとなる細胞内分子としてSH3BP5およびapollonを発見した。特に、SH3BP5は細胞内でJNKの直接的な阻害因子として働くことにより作用を発揮することを見いだした。2)EHノックアウトマウスに関して、マウス遺伝子上にタンデムに並んで存在する2種類のEH遺伝子があり、両者を同時にノックアウトしなければならないという技術上の難点から作製が難航した。そこで方針をEH transgenic マウスを作成することに転換し、同マウスをAD マウスに掛け合わせ、認知症状を改善できるか否かを検討することとした。マウスの作製の初期段階は順調に経過し、実際transgeneを有するマウスを得ることに成功した。3)EHにはインスリン作用増強作用はないということを確認した。4)EHの精子前駆細胞の細胞死抑制作用に関しては、実験遂行のためにモデル系を確立した。次に、AD の生化学的早期診断法を確立する研究に関して、確立したEH のウエスタン法による測定アッセイ系を駆使して、ヒトの髄液においても0.1 nMレベルのEHが存在することを見いだした。この事実は中枢神経系においてEH が有効濃度存在することを意味している。また、特異的な14-3-3sigmaの濃度アッセイ系を確立し、ADとコントロールの血中濃度を比較したが、有意な変化は見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)予想以上に進捗したプロジェクトはHN/EHシグナルの下流分子の同定研究であり、特にSH3BP5がJNKの阻害因子であるという予想外の新たな発見に至った。一方、EH遺伝子ノックアウトに関するプロジェクトは、EH1とEH2遺伝子がタンデムに連続しているという特性のため、実験遂行に支障を来した為、断念せざるを得なかった。代替のプロジェクトとして、transgenicマウス作製することに方針転換した。臨床サンプルに関しては髄液サンプルの調達が困難であり、当初予想したよりも時間がかかっている。その他の研究は作業仮説が正しくないことが最終的に明らかになったプロジェクトを含め、おおむね順調に進捗している。HN/EH活性をもつ小分子の探査プロジェクトに関しては興味をもつ企業が現れず断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究のコアの部分は順調に進捗している。EHのノックアウトプロジェクトに関しては、既に、計画を変更してtransgenic マウス作製に変え、順調に経過している。
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