2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム再プログラム化分子機構 体細胞から多能性幹細胞へ
Project/Area Number |
23390067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多田 高 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (30188247)
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Keywords | 再プログラム / 細胞融合 / iPS細胞 / エピジェネティクス / 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
背景)iPS細胞は、多能性を応用して個人に対応した移植細胞や組織を作製するための細胞ソースとなることが期待されている。しかし、体細胞がiPS細胞に再プログラム化する機構はほとんど解明されておらず、医療応用を見据えたiPS細胞の品質管理の障害になっている。 目的)体細胞からiPS細胞へ一方通行の道筋をたどる細胞株を樹立し、その結果を他の再プログラム化誘導法である細胞融合と比較することで共通のメカニズムを浮き彫りにする。 平成23年度の成果)ヒト繊維芽(TIG)細胞株でOct4,Sox2,Klf4,c-MycおよびDsRed(サイレンシングマーカー)を強制発現させ30日後に出現したコロニーを全てクローニングした。その結果、安定に自己増殖する繊維芽細胞(iFSC;induced fibroblast stem cell)株が複数株樹立された。ヒトFSCは、外来性のOct4を発現するが、内在性Oct4は発現していなかった。iFSCを高密度(1x10^6/6cm培養皿)で培養すると7日程で、高効率にヒトiPSC(induced pluripotent stem cell)が誘導された。ヒトiPSCはDsRedマイナス細胞クローンとして、再プログラム化誘導後3日には確実に同定された。DsRedマイナス細胞クローンは全てヒトiPSCクローンになった。約30クローン/6cm培養皿の頻度で出現した。出現したヒトiPSc細胞株は通常のヒトiPScと同様の遺伝子発現プロフィールを持っていた。体細胞がiPS細胞に再プログラム化される機構を解析するための細胞株の樹立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
再プログラム化の解析技術はすでに確立された技術の応用により実現可能である。鍵となる再現性良く、かつ効率よくヒトiPS細胞に再プログラム化可能な体細胞様細胞株の樹立に成功したことは大きな前進であり、十分な研究費と労働力があれば、機構の解明が現実化できる。
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Strategy for Future Research Activity |
再プログラム化中の体細胞クローンの1個の細胞からcDNAライブラリーを作製という高等技術を用い、かつ遺伝子発現マイクロアレー解析を行い、再プログラム化機構を明らかにする。その際、多くの労力と多額の費用が生じる。本研究費のみで全てを充当できるかが問題点としてあげられる。研究の遂行に技術的不安はない。
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