2011 Fiscal Year Annual Research Report
TGFβ/β-cateninシグナルによるT細胞応答・恒常性の制御機構の解明
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23390075
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
山下 政克 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム医学研究室, 室長 (00311605)
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Keywords | β-catenin / OX40 / αβT細胞 / γδT細胞 / 好酸球 / Menin / Tcf7 |
Research Abstract |
活性化T細胞特異的β-catenin欠損マウス(β-catenin flox/flox x Ox40-Cre Tgマウス)で認められる皮膚炎の自然発症機序について解析を行った。この皮膚炎におけるT細胞の関与を確認するため、T細胞特異的β-catenin欠損マウス(β-catenin flox/flox x CD4-Cre Tgマウス)を作製して解析を行ったところ、このマウスでは皮膚炎の発症が全くみられないことが分かった。さらに、活性化T細胞特異的β-catenin欠損マウスとTCRβ欠損マウスを交配し、αβT細胞の皮膚炎発症への関与を検討したが,TCRβ欠損バックグラウンドの活性化T細胞特異的β-catenin欠損マウスでも皮膚炎の自然発症が認められた。これらの結果は、少なくともαβT細胞はβ-catenin flox/flox x Ox40-Cre Tgマウスの皮膚炎の自然発症には必要ないことを示している。現在、γδT細胞の関与について検討する目的でTCRδ欠損マウスとβ-catenin flox/flox x Ox40-Cre Tgマウスを交配中である。また、T細胞・B細胞がともに存在しないRAG1欠損マウスとの交配も進めており、リンパ球の関与について来年度中に最終的な結論を出す予定である。また、リンパ球以外の細胞がOX40を発現する可能性を考え、皮膚浸潤炎症細胞におけるOX40の発現をFACSで検討したところ、好酸球がOX40を発現していることが分かった。また、TGFβシグナルとβ-cateninの関係について解析を進め、TGFβが腫瘍抑制因子Meninの機能調節を介してβ-catenin結合性転写因子であるTcf7の発現を制御している可能性を新たに見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの交配に時間を要していおり、皮膚炎の解析はやや送れている。しかし、TGFβ下流の新たな標的分子候補として腫瘍抑制因子のMeninを同定しており、新しい方向性を見出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
活性化T細胞に特異的に発現すると考えられていたOX40が、好酸球などにも発現している可能性がでてきたことから、β-cateninが当初考えていた様に、T細胞機能の恒常性維持を行っている可能性は低くなった。しかし、本年度、TGFbが腫瘍抑制因子Meninの機能調節を介してβ-catenin結合性転写因子であるTcf7の発現を制御している可能性を新たに見出したことから、来年度はこの経路の生理的な意義について解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)