2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ病原因子CagAの病原生物活性に関わる分子構造基盤の解明
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23390076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 秀明 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (20311227)
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Keywords | 細菌感染 / 分子モデリング / タンパク質結晶化 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、ヘリコバクターピロリCagA組換えタンパク質を用いた構造解析を進め、CagAが二つのドメインで構成され、CagA生物活性に重要なC末端領域においては高次構造が存在する一方で、自由度の高い不規則構造も併せて存在していることを明らかにした。また、全長CagAが示す細胞形態変化誘導活性を指標に組換えC末端フラグメントの生物活性を検討し、不規則構造から構成されているC末端フラグメントは細胞形態変化活性を示したことから、CagAは主要な生物活性に重要なEPIYA領域周辺を不定形構造として持つ内因性不規則構造タンパク質であることが強く示唆されていた。 1.NMR法によるC末端フラグメントとCagAの標的分子であるPAR1分子間相互作用の解析を進め、PAR1によるNMR分子滴定の結果からCagA C末端フラグメントは標的分子と相互作用することで一定の構造を維持する内因性不規則構造タンパク質であることが明らかとなった。さらにN15/C13ラベルCagA分子を用いたNMR滴定解析を進め、PAR1との相互作用に関わるアミノ酸残基の同定を行った。 2.CagA N末端フラグメントの結晶構造解析を行い約3.5Aの解析像を得たが、分子構造の詳細を明らかにするには至らなかった。そこで、N末端フラグメントのさらなるドメイン構造解析を進め、ドメイン構造情報に基づいた複数の欠失変異体を作成し結晶化に成功した。個々の欠失変異体フラグメントのX線構造解析結果に加え、アミノ酸置換を導入した変異型N末端フラグメントの構造解析を進め、N末端フラグメント構造の概要を明らかにするに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時において得られていたCagA分子構造情報に加え、新たに作出した変異型分子の構造情報からCagA N末端フラグメント構造の概要を明らかにすることに成功した。このことは、本申請課題の目的であるCagA分子構造の解明、さらには分子構造情報に基づいた抗CagA活性物質の開発を達成するにあたり、非常に大きな進捗と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在解析中の変異型CagA分子の構造情報を明らかにし、これまでに得られた立体構造情報と併せた分子構造モデリングを遂行する。また、得られたCagA分子構造情報を基盤とした、抗CagA活性物質の探索に着手していく。
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Research Products
(3 results)