2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規アルツハイマー病標的膜タンパク質が誘導する成熟神経細胞の死の研究
Project/Area Number |
23390079
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
星 美奈子 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (30374010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅文 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (10586655)
大西 隆之 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (30418959)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アミロイド / 神経細胞死 / 認知症 / シナプス |
Research Abstract |
アルツハイマー病ではアミロイドβ(Aβ)が凝集し異常構造体を形成し、神経毒性という異常機能を獲得する。代表者らは、アルツハイマー病(AD)患者脳より世界で初めて、神経細胞死の直接原因となる異常構造体Aβ凝集体「アミロスフェロイド(ASPD)」の単離に成功した(Noguchi et al, JBC2009)。さらに、最近我々は、ASPD毒性の標的分子として、新たな成熟神経細胞にのみ発現するシナプス膜タンパク質を同定した。本研究の目的は、この新規標的分子の機能を解明し、ASPDによる標的分子の障害がアルツハイマー病発症の分子病態を説明しうるかを、動物個体、患者脳、成熟神経細胞を用いて総合的に検証する。そのため以下3つの課題達成を目指す。課題1:標的分子の中枢神経特異的ノックアウトを作製し、個体及び細胞レベルで標的分子の機能を解析し、ASPDによる神経細胞死の作用点であるかを検証する。課題2:標的分子の分布、存在量、機能が、患者の重症度やASPD量と相関するかを検証する。課題3:標的分子による細胞死シグナルグナルの分子レベルでの理解、特にアルツハイマー病のもう一つの特徴であるタウの異常との関連を解明する。 今年度の成果として、標的分子の中枢神経特異的ノックアウトを作製し、個体作出を行った(課題1)。患者脳で標的分子の発現が低下していることを示した(課題2)。また、ASPDは標的分子の機能を阻害し神経細胞死を誘導することを明らかにし、結合阻害により毒性を阻止出来ることを見出した(学会発表、知財、論文投稿準備中、課題3)。 上記により、今までは説明が出来なかった成熟神経細胞が損傷される原因とその機序を明らかにした。さらに、新たな創薬への基盤となるシーズを実際に見出すことに成功した。ASPD毒性について論文にし、また形成機構について学会発表を踏まえて、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各課題について、課題1のノックアウト動物については、ハウスキーピング遺伝子であるため機能解析が出来る成熟神経細胞が取ることは困難そうであるが、細胞レベルでの解析を目的どうり達成することが出来た。 課題2については、予定どおり患者脳内での発現解析をin situを用いて実施し、予定を達成出来た。。 課題3については、機能解析のみならず、阻害剤候補まで今年度同定出来たので、予想より進行している。 上記のとおり、設定した課題1,2,3の全てにおいて初年度の計画を予定通り進めることが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1新規標的分子の動物における機能解析 予定通り、標的分子のノックアウトの解析を実施する。細胞レベルの解析から標的分子をノックアウトすると、成熟した機能的神経がそもそも得られない可能性も出てきたため、siRNAなどを活用したノックダウン系についても取り組んでいく。 課題2新規標的分子の患者脳での病態解析 患者脳において標的タンパク質に関連する因子の存在量を免疫組織化学的・生化学的に検証する。 課題3新規標的分子による神経細胞死分子機構の解明 今年度見出した阻害剤候補の解析を実施し、創薬の可能性について探索する。これを基に阻害剤をスクリーニングする系の構築に取り組む。また、引き続き下流のシグナル伝達機構を解明し、タウの異常へと至るシグナル伝達経路を解明し、アミロイドとタウの関係を明らかにする。研究成果は知財化した上で積極的に発表していく。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] 神経細胞における球状アミロイドβ凝集体の細胞内形成機構
Author(s)
H. Komura, N. Takino, S. Muramatus, M.Hoshi
Organizer
ワークショップ:神経・筋疾患に関する最近の研究; 発症メカニズムの解明・治療・細胞骨格 オーガナイザー: 石浦章一 (東大・院・総合文化・生命) 第35回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
博多
Invited
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