2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Human pathology
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勇一郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (90347055)
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 助教 (90372797)
今村 卓郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60203329)
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Keywords | 糖尿病 / 動脈硬化 / 血栓症 / 酸化ストレス / 病理 |
Research Abstract |
糖尿病は、心血管イベント発症の強力な危険因子である。糖尿病は、動脈硬化巣の脂質コアの増大と破綻を促進するが、糖尿病患者の動脈硬化の病理像は非糖尿病患者とは異なっており、その破綻の機序も異なるメカニズムと推察される。本研究では、糖尿病性動脈硬化病変の病理像及び代謝物質、代謝経路を解析し、糖尿病におけるアテローム血栓症の発症機序の解明と新たな治療法への展開を目的としている。 1)糖尿病性動脈硬化巣の性状 剖検症例および冠動脈アテレクトミー標本を用いて、糖尿病患者と非糖尿病患者の動脈硬化巣を病理組織学的に解析し、糖尿病では脂質コアの形成が非糖尿病に比べて亢進していること、一方、狭窄を伴う進行病変においては脂質コアが退縮し、マクロファージ浸潤の程度も減弱し、線維性成分に富んだ病変に移行することを示した。 2)血栓の組織性状 非糖尿病・糖尿病患者の血栓吸引標本における組織成分の検討を進めており、糖尿病患者の血栓ではCD34陽性細胞が減少していることを見出した。 3動物モデルでの検討 家兎動脈硬化モデルを確立し、糖尿病性動脈硬化組織像の病理学的検討を進めている。これまでに糖尿病モデルでは、脂質コア形成がより著明で、病変形成早期より病変内の虚血領域が増大すること。これに対する生体防御反応が非糖尿病と比べて減弱していることを見出している。現在、糖尿病性動脈硬化巣のエネルギー代謝に関してメタボローム解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剖検症例を用いた検討では、糖尿病と非糖尿病の冠動脈硬化標本の病理像について解析が進んでおり、硬化巣における代謝関連因子の発現の差など新たな所見が見つかってきている。また動物実験では、糖尿病性家兎動脈硬化モデルの作成が進み、病理組織学的検討が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
家兎動脈硬化モデルを用いて、糖尿病性動脈硬化病変におけるエネルギー代謝の包括的解析を施行し、糖尿病状態における硬化巣での特異的代謝変化を明らかにする。 また、ヒトの動脈硬化病変においても、本動物モデルと同様の代謝変動があるか否かの解析を行い、動物種を超えた普遍的な代謝変化を探索する。包括的解析で得られた結果を基盤とし、動脈硬化病変の特異的環境に対する応答性から機序の洞察を行う。
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