2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たなヒト・リンパ球ナチュラル・ヘルパー細胞の同定と疾患への関与
Project/Area Number |
23390086
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60230463)
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Keywords | 病理学 / 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / メタボリック症候群 / 自然免疫 |
Research Abstract |
申請者らは、マウス脂肪組織に存在する新しいリンパ球を発見し、自然免疫系の一部を担当する細胞と考え、ナチュラル・ヘルパー(NH)細胞と名付けた。このNH細胞は、IL-5やIL-6を恒常的に産生することで、B細胞のIgA産生促進や腹腔内B1細胞の自己複製を支持するとともに、IL-25やIL-33刺激により、IL-5やIL-13などの2型ヘルパーT細胞(Th2)タイプのサイトカインを多量に産生し、寄生虫感染防御に必須であることを見出した。そこで本研究では、ヒトにおけるFALCの同定とNH細胞の機能解析を行い、さらに各種疾患における関与について明らかにすべく、以下の課題を遂行し、以下の成果を得ている。1)ヒト全身脂肪組織におけるFALCを同定し、構成細胞を解析するなかで、腸問膜がもっともFALCが明瞭で、NH細胞が多いことが判明しつつある。腸間膜以外では、大網、腎脂肪被膜、生殖器周囲、後腹膜に一定数存在すること、縦隔、皮下、眼窩の脂肪組織にはほとんど認められないことを見出している。2)剖検症例の腸間膜からFALCにあるNH細胞を単離し、サイトカイン刺激後の遺伝子発現変化や転写因子発現を網羅的に解析している。その結果、ヒトNH細胞も自然免疫担当細胞として、マウスと類似した遺伝子発現やサイトカン産生能を有することが判明しつつある。3)過去20年間の剖検症例において、メタボリック症候群症例および対照症例の腸間膜におけるFALCの病理学的解析を開始した。今後、FALC組織あるいはNH細胞について解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおける知見をもとにヒトにおけるFALC組織およびNH細胞の存在の病理解剖学的証明、表面マーカーの検討、細胞の単離法の確立など、順調に進行している。解析を始めてみて、やや時間を要するのが、剖検症例におけるメタボリック症候群とその対照症例の診断評価と腸間膜標本の選定である。これについては、臨床検査技師および技術員の協力のもとに効率的に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の課題を順次遂行する予定である。1)ヒト全身脂肪組織におけるFALCを同定し、構成細胞を明らかにする。2)FALCにあるNH細胞を単離し、自然免疫担当細胞としての機能を解析する。 3)メタボリック症候群、アレルギー疾患(アトピー喘息、花粉症)症例におけるFALCの病理学的解析を行い、NH細胞の動態、機能を明らかにする。また、いまのところ計画の変更はなく、問題点も上記11.の解析速度の向上が主な課題である。
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[Journal Article] Desmoglein 3-specific CD4+ T cells induce pemphigus vulgaris and interface dermatitis in mice2011
Author(s)
Takahashi H, Kouno M, Nagao K, Wada N, Hata T, Nishimoto S, Iwakura Y, Yoshimura A, Yamada T, Kuwana M, Fujii Y, Koyasu S, Amagai M
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Journal Title
Journal of Clinical Investigation
Volume: 121
Pages: 3677-3688
Peer Reviewed
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