2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390088
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山崎 小百合 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70567255)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 制御性T細胞 / 免疫寛容 / 免疫制御 / 自然免疫 |
Research Abstract |
これまでに研究代表者は自己免疫反応等を抑制する制御性T細胞の増殖誘導に、professionalな抗原提示細胞である樹状細胞が重要な役割を果たす事を示してきた。樹状細胞は、様々な自然免疫シグナルで異なって活性化する事が知られているが、制御性T細胞の機能を制御する樹状細胞の活性化シグナルは不明な点が多い。本研究では制御性T細胞の機能を制御する自然免疫シグナル機構を解析し、目的に応じて制御性T細胞を制御する事を目指して研究を行っている。 H23年度に制御性T細胞の抑制能、生存能が増強するシグナルとしてTLR2リガンドであるPam2 lipopeptidesが候補である事を示した。Pam2 lipopeptideは制御性T細胞の誘導に重要なRALDHやIL-10を樹状細胞に誘導できる事も明らかに し、Pam2 lipopeptideで刺激を受けた制御性T細胞が生体内で癌に対する免疫反応を抑制している事を示した (Yamazaki *et al, PlosOne 2011, * corresponding author)。 H24年度には、口腔由来の樹状細胞が制御性T細胞を増殖誘導している事を報告した(Yamazaki* et al, PlosOne 2012,* corresponding author)。この際、 口腔由来の樹状細胞は、これまでに知られている腸管の樹状細胞とは異なるメカニズムで制御性T細胞を誘導している可能性が示唆された。口腔由来樹状細胞特有の活性化シグナルについて解析中である。 また、最近、生体内局所における割合を40-60%に増強できる刺激Aを確認した。刺激Aが生体内で樹状細胞を活性化する自然免疫シグナルについて実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度に制御性T細胞の抑制能、生存能が増強するシグナルとしてTLR2リガンドであるPam2 lipopeptidesが候補である事を報告した(Yamazaki et al, PlosOne 2011)。TLR2シグナルにて樹状細胞から産生されるIL-10 が制御性T細胞の増殖、抑制能に重要であり、Pam2 lipopeptideで刺激を受けた制御性T細胞が生体内で有効な腫瘍免疫を抑制している事も判明した。つまり、癌に対して有効な免疫応答を誘導する為には、制御性T細胞の抑制を解除する自然免疫活性化シグナルが望ましいと考えられた。 H24年度には、口腔由来の樹状細胞が制御性T細胞を増殖誘導している事も報告できた(Yamazaki* et al, PlosOne 2012* corresponding author)。 口腔由来樹状細胞特有の活性化シグナルについて解析中である。口腔由来樹状細胞が既に末梢に存在している胸腺由来Natural制御性T細胞を増殖しているのか、或は、末梢のFoxp3-CD4+T細胞からFoxp3+制御性T細胞を誘導しているのか(Induced制御性T細胞)を明らかにするため、H24年度に制御性T細胞特異的な転写因子である Foxp3のレポーターマウスが必要であった。マウスを理化学研究所より搬入したが、タイピングにも時間を要し、マウスが子育てを放棄して育たない、など繁殖に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Foxp3のレポーターマウスが繁殖に時間がかかっているためbreeding pairを増やした。マウスのケージ数が多くなるため、飼育費があがるが、実験の推進に必要である。繁殖でき次第、 口腔由来樹状細胞が既に末梢に存在している胸腺由来Natural制御性T細胞を増殖しているのか、 Induced制御性T細胞を誘導しているかを明らかにする。 同様に、Foxp3のレポーターマウスを利用して刺激Aにより増殖している制御性T細胞の由来を明らかにする。 また、新たに、制御性T細胞の抑制能、生存能を増強する刺激Aを解析中である。刺激Aのダウンシグナルとしての自然免疫シグナルと樹状細胞の動態について解析している。刺激 Aにて局所に動員される樹状細胞サブセットと制御性T細胞の相互関係の解析をconfocal microscopy, two photon microscopeにて検討する。刺激A投与後の血清やリンパ節の組織より、mRNAやタンパクレベルで炎症性サイトカインを解析し、活性化する自然免疫シグナルを解明する。刺激Aにて誘導された制御性T細胞を用いて、CD25-CD4+T細胞移入による炎症性腸炎などの自己免疫疾患や移植片対宿主反応(GVHD)のマウスを用いて生体内の抑制能まで検討する。
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Research Products
(7 results)