2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍死細胞が惹起する抗腫瘍免疫活性化機構におけるCD169マクロファージの役割
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23390095
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田中 正人 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (00294059)
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Keywords | がん / マクロファージ / 細胞死 |
Research Abstract |
抗がん剤や放射線照射によりがん細胞に死を誘導すると、ある条件下ではがん抗原特異的細胞傷害性T細胞が誘導され、さらなるがんの縮小および再発の阻止に寄与する場合があることが知られている。我々はこの現象にこれまで考えられていたリンパ節在住の樹状細胞ではなく、CD169分子を発現する特殊なマクロファージサブセットが関与していることをつきとめた。このCD169マクロファージは、リンパ節周辺部のリンパ洞に局在する細胞で、リンパ節に到達したがん死細胞を選択的に貧食し、死細胞抗原を提示することにより癌抗原特異的細胞傷害性T細胞を活性化する。本年度はこのマクロファージの機能解析のために、当該マクロファージに特異的に蛍光タンパクを発現する遺伝子改変マウスの作製を行った。CD169遺伝子のプロモーターの下流にCre recombinaseを発現するCD169-Creノックインマウスを作製し現在交配中である。また、腫瘍増殖過程におけるCD169マクロファージの役割を明らかにするために、CD169-DTRマウスにジフテリア毒素を複数回投与し、当該マクロファージの非存在下での腫瘍増殖の経過を観察している。さらにCD169マクロファージの活性化による腫瘍増殖抑制法の開発のために、当該マクロファージの細胞表面分子に対する抗体の作製を行っている。 リンパ節や脾臓以外の組織におけるCD169マクロファージの分布を解析したところ、骨髄や腸管にも少数のCD169マクロファージが存在していることをつきとめた。そこで、現在これらマクロファージの生理的・病理的意義を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、本研究の解析に有用なCD169マクロファージを蛍光標識した遺伝子改変マウスの作製に着手し、間もなく解析が可能になる予定である。また当該マクロファージの活性化を誘導する方法についても検討を行っており、がん免疫活性化法の開発にむけて着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
CD169-Cre x ROSA26-YFPマウスにおけるリンパ節CD169マクロファージの蛍光標識を確認し、従来の方法との組み合わせ等により当該マクロファージ分離採取法の最適化を図る。そして、当該マクロファージのサブセット解析と特異的表面マーカーの探索、抗原提示能等の機能解析を行う。さらに当該細胞の細胞表面分子刺激による活性化法の開発を進める。
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Research Products
(8 results)