2011 Fiscal Year Annual Research Report
前がん状態においてDNAメチル化異常を惹起する分子機構の解明
Project/Area Number |
23390096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
金井 弥栄 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (00260315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 恵吏 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40446547)
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Keywords | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / 前がん状態 / 腎がん / 慢性肝炎 / 肝がん / 慢性閉塞性肺疾患 / 肺がん |
Research Abstract |
本研究は、多数の組織検体の分子病理学的解析をもとに、多段階発がん早期の前がん状態において、DNAメチル化異常を惹起する分子機構を明らかにすることを目的とする。Cancer-proneのDNAメチル化プロファイルを示す前がん段階にある組織検体で発現亢進あるいは低下し、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)等と結合して異常な標的配列に誘導する可能性のある候補核内蛋白等を同定することを目指している。 平成23年度には、(a)肝炎ウイルス感染に基づく慢性肝炎・肝硬変症を呈し、肝細胞がんに対する前がん段階にある非がん肝組織、(b)DNAメチル化異常が蓄積する前がん段階にあることを研究代表者らが既に明らかにしている、腎細胞がん症例より得られた非がん腎組織、(C)慢性閉塞性肺疾患を伴う、あるいは喫煙歴のある、肺がん症例より得られた非がん肺組織など、前がん段階にある合計400程度の組織検体において、Infinium HumanMethylation27 Bead Arrayあるいはlnfinium Human Methylation450 Bead Arrayによる網羅的DNAメチル化解析を終えた。当該臓器のがんに罹患していない患者より得られた正常組織に比して、前がん段階にある組織においてすでにDNAメチル化状態が変化していることを、1塩基解像度で解析可能な最新のプラットフォームにおいて示し得た。前がん段階にある組織のDNAメチル化プロファイルに基づくクラスター解析で、前がん段階から特にDNAメチル化異常が蓄積し、悪性度の高いがんを生じやすい症例群が特定された。DNAメチル化プロファイル取得を終えた組織検体からtotal RNAを抽出し、SurePrint G3 Human Gene Expression 8×60K microarrayを用いた網羅的発現解析に既に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前がん段階から特にDNAメチル化異常が蓄積し、悪性度の高いがんを生じやすい症例クラスターを初年度に同定し得たので、同クラスターに特異的なDNAメチル化プロファイル形成の分子機構の理解を、当初計画の通りに進め得ると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
既に特定したcancer-proneのDNAメチル化プロファイルが確立している前がん段階にある組織検体において、正常組織に比しあるいはこのようなDNAメチル化プロファイルが確立していない組織検体に比し、有意に発現亢進・低下している分子を網羅的に同定する。網羅的発現解析結果は、定量的RT-PCR解析等によって検証する。着目する前がん段階で有意な発現変化のあった分子群の中で、核に局在し既知の各種DNMTやピストン修飾蛋白と複合体をつくる可能性のある分子を、MetaCoreパスウェイ解析等で選択し、優先度の高い候補分子群とする。候補分子の抗体を収集し、同抗体を用いた免疫沈降で共同沈降する蛋白を網羅的に同定するなどして、DNMTが特定の塩基配列にリクルートされる分子機構の理解を進めることを目指す。
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Research Products
(16 results)