2011 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシンペルオキシダーゼファミリーがマラリア原虫寄生適応に果たす役割の解明
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23390098
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
河津 信一郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
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Keywords | 感染症 / マラリア / ストレス / レドックス / 遺伝子改変原虫 |
Research Abstract |
(1)マラリア原虫肝内型における抗酸化酵素(1-Cys Prx、TPx-1およびTPx-2)の局在と発現プロファイルを野生株(WT)で観察した。Plasmodium berghei感染蚊唾液腺から調整したスポロゾイトを、in vitroで培養したHepG2細胞へ接種した。接種後5時間後(5h)、17時間後(17h)、40時間後(40h)、50時間後(50h)に1-Cys Prx、TPx-1およびTPx-2の局在を各特異的抗体を用いて間接蛍光抗体法で観察した。また、各抗酸化酵素mRNA発現量をリアルタイムRT-PCRにて相対定量した。WTにおいて、TPx-1は細胞質に局在し、構成的な発現を示した。1-Cys Prxの発現も細胞質に局在し、その発現は40hから亢進し50hでピークとなった。一方TPx-2はミトコンドリアに局在し、その発現は17hから亢進し40hでピークとなった。 (2)マラリア原虫蚊体内ステージにおける抗酸化酵素の発現プロファイルを野生株(WT)とPrx欠損株との間で比較した。Prx欠損株では幾つかの抗酸化酵素発現量がWTのそれと比較して有意に増加した。このことから、蚊体内発育型において酸化ストレス応答のメカニズムが存在することが示唆された。 (3)過酸化水素反応分子プローブ(HyPer)のトランスジェニックP. berghei ANKA株を作製した。原虫各発育期で細胞内に派生する過酸化物の動態観察をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マラリア原虫蚊体内発育型及び肝内型における抗酸化酵素(1-Cys Prx、TPx-1およびTPx-2)の局在と発現プロファイルについて、また、過酸化水素反応分子プローブ(HyPer)のトランスジェニック原虫株の作製について、計画の通り実践成績を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、チオレドキシンペルオキシダーゼ(Prx)ファミリー(family)遺伝子を欠損するローデント(ネズミ)マラリア原虫で観察される表現型について、そのメカニズムを詳細に調べることで、Prx familyの(1)酸化ストレス応答機構(2)蚊体内発育ステージでの役割(3)肝内型発育ステージでの役割を明らかにすることを目的とする。
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Research Products
(6 results)