2013 Fiscal Year Annual Research Report
エンテロトキシンファミリーのプレッシャーによる黄色ブドウ球菌感染戦略の解明
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23390100
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中根 明夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30164239)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染症 / 毒素 / TSST-1 / 細菌 / オートファジー / 免疫 / IL-17 / IL-10 |
Research Abstract |
本研究では、TSST-1のスーパー抗原以外の機能を実証し、黄色ブドウ球菌感染における役割を細胞レベル及び生体レベルで解明し、黄色ブドウ球菌と宿主の攻防メカニズムを解明することを目的としている。その目的に沿って平成25年度は以下の検討を行った。 1.TSST-1遺伝子を欠損した変異株をHeLa細胞に感染させると、野生株感染と比較して栄養飢餓やラパマイシンにより誘導されるオートファゴソーム数が多かった。一方、細胞内の生菌数は野生株に比べ変異株で少なく、オートファジーは上皮細胞内での黄色ブドウ球菌の生存・増殖に関与していることが示唆された。 2.TSST-1のスーパー抗原活性を欠損したTSST-1変異タンパク質のオートファゴソーム形成に対する影響を検討したが、スーパー抗原活性を有するTSST-1と同様にオートファゴソーム形成を抑制した。この結果から、TSST-1のオートファジー抑制はスーパー抗原火依存性であることが示唆された。 3.スーパー抗原欠損TSST-1で免疫したマウスでは、黄色ブドウ球菌のみならずリステリアやカンジダに対しても感染抵抗性が付与された。しかし、免疫後の長期記憶の時期に各菌を感染させた場合、感染抵抗性は見られなくなった。その原因を探求したところ、記憶細胞が消失したわけではなく、IL-17 の代わりにIL-10 を産生するため感染抵抗性が抑制されること、抗IL-10抗体の投与により各菌の感染抵抗性とIL-17産生が回復することを見いだした。 4.高脂肪食肥満マウスにおいて、黄色ブドウ球菌皮下感染に対する抵抗性が減弱するが、リステリア感染では獲得抵抗性が減弱することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子、オートファジー、免疫の各研究は段階的にデータが蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画に従って平成26年度以降の研究を遂行していく予定である。特にTSST-1の感染に対する役割の位置づけを明確にしたい。
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Research Products
(9 results)