2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ胃粘膜長期感染に必要な宿主・菌体因子の時空間的動態解析
Project/Area Number |
23390102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 史人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30423122)
小川 道永 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (80361624)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細菌 / 感染症 |
Research Abstract |
本研究では、ヘリコバクターピロリの胃粘膜長期感染成立メカニズムの包括的理解を目指して、本菌と感染宿主の時間的・空間的相互作用に焦点を絞り、次の研究を企図した。
(A) Hp発現動態解析:ヒト類似高病原性スナネズミ感染株と、低病原性マウス感染株の感染経時的な網羅的発現動態を比較して、感染ステージごとのヒト病原性に重要な菌体因子を同定する。(B) 胃での反応解析:感染経時的なHp発現変動に対応した胃上皮発現動態を解析して長期定着機構を解明する。 (C) 腸管パイエル板 (PP) での反応解析:抗原取込み器官における菌体と宿主の相互作用と抗原提示メカニズムを解析する。 平成24年度は以下の成果を得た。 (A)感染経時的なトランスクリプトーム解析のために必要となる、ピロリ菌全ゲノムおよびプラスミド配列決定について、サンガー法による補足データ解析を終了した。 らせん状菌と球状菌の表面タンパク質プロファイルの網羅的解析に供するための、タンパク質調製方法を確立した。当初はiTRAQ標識による表面タンパク質の調製を予定していたが、標識効率が不均一であり、当該手法は最適ではないことが判明した。そこで、界面活性剤を用いた外膜タンパク質調製法を検討し、再現性よく調製することが可能な調製方法を確立した。 (B)ピロリ菌感染スナネズミの胃上皮層由来total RNAを用いたマイクロアレイ解析を予定していたが、予備検討からスナネズミはマウスmRNAと配列が大きくことなる物が多いことが判明したため、トランスクリプトーム解析を検討することとした。 (C)オートファジー関連因子欠失マウス由来繊維芽細胞を用いた解析から、ピロリ菌の菌体outer membrane vesicle (OMV)が誘導する炎症性サイトカインの発現にはオートファジーが関連することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は難航していた菌体外膜タンパク質解析が進展した。これにより、胃とパイエル板での反応解析が大きく進展することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は以下の研究を行う。 感染経時的な菌体発現解析をスナネズミおよびマウス感染モデルにおいて、トランスクリプトーム解析により精査する。同定された因子の変異ピロリ菌を作出して、in vivoにおける当該因子の意義を検討する。 昨年度確立した表面タンパク質調製方法を利用して、らせん状菌および球状菌の表面タンパク質プロファイルをLC/MS/MSによる網羅的ショットガン解析により精査する。
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