2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 重樹 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60379089)
安倍 裕順 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00379265)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 百日咳 / 気管支敗血症菌 / 咳嗽 |
Research Abstract |
1.感染動物モデルの咳嗽発作の観察データの収集 前年度までに決定した条件で、気管支敗血症菌をラットに感染させ、咳嗽発作症状を観察した。2種の異なる菌株(S798株と RB50株)をラットに経鼻投与したところ、両菌株とも感染5日以内にラット咳嗽症状を起こした。観察期間における平均咳嗽回数は両菌株とも同程度(~150回/30分)であった。ラットを自然宿主としない百日咳菌を高菌量(100,000,000 cfu/ラット)で投与したところ、菌は一週間以内に排除されたが、感染5日から咳嗽発作が認められた。気管支敗血症菌の菌体破砕液を5日間連続投与しても、咳嗽発作が認められたが、加熱処理した菌体破砕液は咳発作を起こさなかった。また、既知の病原因子遺伝子を欠失させた変異株はいずれも咳嗽発作を起こした。 2.咳嗽発作を起こさない ΔC株の変異遺伝子のクローニング 気管支敗血症菌の ΔC株と野生型株の全ゲノム配列を決定し、その異同から ΔC株に特有の変異遺伝子を探索したところ、3種の遺伝子に変異のあることがわかった。これらのうち2種は同様に咳嗽発作を起こす百日咳菌やパラ百日咳菌のゲノムには存在しない遺伝子であることがわかった。野生型株のこれらの遺伝子をそれぞれ人為的に欠失させて、咳嗽発症能を調べたところ、気管支敗血症菌、百日咳菌、パラ百日咳菌が共有する残りの1遺伝子(C 遺伝子)を欠失させると、咳嗽発作が起こらないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では感染動物モデルの経過観察データの収集と、咳嗽発作を起こす気管支敗血症菌の責任遺伝子の同定が計画の柱であった。これに対し、気管支敗血症菌のラット感染モデルの実験データから、咳嗽発作の責任遺伝子の性状について、多くのヒントを得ることができた。また、ゲノム配列の結果から、咳嗽発作の責任遺伝子と思われる遺伝子を同定することができた。研究実施の当初の年度計画から鑑みて、ほぼ順当に計画が進捗していると考えて差し支えない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定されたC遺伝子の性状解析が、研究進捗のための重要なステップとなる。C 遺伝子の配列から予想される機能に応じて、気管支敗血症菌の遺伝子転写活性解析、培養細胞及び動物レベルの感染実 験、さらに分子生物学的・生化学的解析をおこない、それらの結果を総合して、百日咳 (Bordetella 属細菌)感染による発作性咳嗽の原因と発症機構を明らかにしたい。
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Research Products
(8 results)