2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能イメージングで探る病原細菌IVB型分泌系のコア複合体
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23390105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 宏樹 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (80222173)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 細菌 / レジオネラ / 接合伝達 / IV型分泌 / タンパク質分泌 |
Research Abstract |
病原細菌のIV型分泌系は、病原因子を輸送するシステムとして、また接合伝達による多剤耐性菌出現を引き起こす主要な経路の一つとして、その全貌の解明が待望されている。細菌細胞表層に構築される複雑な超分子複合体であるIV型分泌系の全体像を解き明かすため、構造未知のIVB 型分泌系の中核複合体や部分複合体を生化学的に単離し、分子あるいは原子レベルでの構造解析を行う。これにより、多様な輸送活性を担い、その進化的な成り立ちが謎につつまれている IV 型分泌系の動作原理の解明を目指している。本年度は昨年度までに得られたコア複合体の粗精製条件の最適化を行い、コア複合体を定量的に分離する条件を確立した。得られた画分のネガティブステインによる電子顕微鏡解析により、リング状構造体が観察された。複数のDot/Icm IVB型分泌系コア複合体コンポーネントに対する抗体を利用した免疫電顕法により、このリング状構造体がIVB型分泌系コア複合体であることを確認した。さらに、コア複合体の中核をなすと考えているDotGを欠いても、形状が若干異なる部分複合体と考えられる構造が観察できることを明らかにした。今後、これらのコア複合体・部分複合体について、構成タンパク質の決定、免疫電顕法より複合体中での構成タンパク質の位置の特定とともに、さらなる高解像度の電子顕微鏡解析および結晶構造解析に向けて、大腸菌発現系を利用するなど、より精製度・収量を高める精製法の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DotG欠失株からの部分複合体の単離など、IVB型分泌系コア複合体の形成の分子基盤解明に向けた特段の成果が得られた一方で、コア複合体の大量分離・精製系の確立にはいたらなかった。世界初となるIVB型分泌系コア複合体構造解析に目処が得られたと考えており、全体として、研究は順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
既述の通り、得られたコア複合体・部分複合体の精製度・収量ともに今後の高解像度解析には不足している。次年度以降この問題に対応するため、レジオネラからの複合体の直接単離に加えて、大腸菌におけるコア複合体・部分複合体構成タンパク質群の大量発現系の構築・精製法の検討を行う予定である。
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Research Products
(10 results)