2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23390118
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鶴見 達也 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 部長 (90172072)
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Keywords | ウイルス / EBV / 複製 / 転写 / カプシド |
Research Abstract |
(1)EBV潜伏感染からの再活性化の分子機構:EBV再活性化のトリガーであるBZLF1蛋白質の発現は転写の段階で制御されている。これまでの予備的実験ですでに、BZLF1プロモーターを強力に活性化する転写コアクチベーター、および、逆に抑制するコリプレッサーを2万種類の発現ベクターライブラリーから新輝に同定した。潜伏感染からウイルス産生感染への切替えに必須なBZLF1遺伝子の転写を制御する宿主因子を網羅的に同定するために、cDNA発現ライブラリーを用いたスクリーニングを遂行した。その中でb-Zip型転写抑制因子c-Jun dimerization protein2(JDP2)が、BZLF1プロモーターに結合し、BZLF1の転写を抑制することでウイルスの再活生化を抑制し、潜伏感染の維持に貢献していることを見いだした。JDP2を過剰発現するとEBウイルス再活性化は抑制され、逆にsiRNAによりJDP2をノックダウンすると再活性化が促進された。JDP2はBZLF1プロモーター上のZIIと呼ばれるシスエレメントに結合し、ヒストン脱アセチル化酵素のひとつであるHDAC3をプロモーター上にリクルートすることでBZLF1の発現を抑制していることを確認した。 (2)、ウイルス複製工場(RC)の構造解析:EBV溶解感染の際には、宿主細胞の核内にReplication compartment(RC)と呼ばれる構造物が形成される。RCにはウイルス由来の複製蛋白質や、宿主細胞のDNA修復蛋白質が集積され、ウイルスゲノムの複製の場となる。これまでの研究によって、RCの内部にBMRF1-richな構造(BMRF1-coreと名付けた)があることを明らかにし、BMRF1-coreに新しく合成されたウイルスゲノムが貯蔵されることを示してきた。カプシド形成、成熟、DNAパッケージングの場を明らかにする目的でカプシド関連タンパクとBMRF1-coreの位置関係を解析した。共焦点レーザー顕微鏡で得られた画像を元に3次元再構築を行った結果、パッケージング関連蛋白質およびカプシドの成熟に関わっている蛋白質はBMRF1-core内部に貯蔵されたウイルスゲノムの内側に局在していた。また、未成熟なカプシドの形成に関わるタンパクは、BMRF1-coreの局在とは無関係に局在していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再活性化の分子機構としてJDP2という転写抑制因子がBZLF1プロモター上に結合し、潜伏感染維持に働いていることを見いだした。またEBVゲノム複製工場についてはウイルスカプシドはReplication compartment内にあるBMRF1コア内の最深部でウイルスゲノムのカプシド内へのパッケージがおきている観察して現在投稿している。これらは今までに無い発見であり、EBV増殖について大きく貢献することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
BZLF1プロモーター上にあるこれまで報告のある転写調節因子の結合部位に変異を導入した組替えウイルスを作成し、感染のレベルで表現系がどのように変わるのかを検討する。 EBVゲノム複製工場については転写のおきる場の特定、および相同組替えが実際におきている証拠及びその場所の特定をおこなう。
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