2012 Fiscal Year Annual Research Report
新医療技術の社会への適切な応用を目指して-公正な医療資源配分方法の確立
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23390137
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白岩 健 帝京大学, 医学部, 講師 (20583090)
福田 敬 国立保健医療科学院, 研究情報支援研究センター, 上席主任研究官 (40272421)
池田 俊也 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (90193200)
坂巻 弘之 名城大学, 薬学部, 教授 (40317334)
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
後藤 玲子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (70272771)
石田 博 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (50176195)
赤沢 学 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80565135)
五十嵐 中 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20508147)
能登 真一 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00339954)
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80372366)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療資源配分 / 医療経済評価 / 功利主義 / 効用値 / 健康度 / 救命原則 / 潜在能力アプローチ / fair innings rule |
Research Abstract |
1.H23年度の研究成果の一部を日本薬剤疫学会の機関誌である「薬剤疫学」に、特集「医療経済評価に関する諸問題~理論的・倫理的側面からの検討」として5論文公表した。 2.H24年度は公正・公平な資源配分(倫理面)に関する検討に重きを置いた。成果を日本生命倫理学会の公募シンポジウムVIで、「QALY(Quality Adjusted Life Year)と医療資源配分-その倫理的基盤」として発表した。 1QALYを得るために必要な費用(cost/QALY)がより安価となる医療技術に優先的に医療資源を配分しようという考え方は、功利主義に基づく効率的な資源配分方法の一つとして諸外国では一定のコンセンサスを得ている。一方わが国では、近年の財政逼迫の影響下、政策応用の議論が始まったばかりである。公平性を犠牲にせずに効率性を上げるには倫理学的な論点の整理が大事である。即ち、救命原則に代表される直観主義の扱い方や、潜在能力アプローチの導入を含め、公正な医療資源配分方法を考える必要がある。 まず、QALY概念と功利主義の異同について整理を行った。効用値の基数性に疑問符がつく中で、QALYにおいて生存年と掛け合わせるのは「効用値」ではなく「健康度」と捉えた方が理解しやすいとの提案が行われた。次に、救命原則(rule of rescue)に焦点をあてた。QALYに基づいて費用対効果が良い順に医療技術を並べたオレゴンヘルスプランの失敗から、直観に訴える救命原則が、功利主義的な医療資源配分に対する足枷になるという説が紹介された。一方、救命原則を公共政策の指針とすべきでないという有力な反論も示された。最後に、潜在能力アプローチにもとづく医療資源配分の社会的選択についての議論が行われた。個人の状態をとらえる指標を個人の「潜在能力」とすることで、より公正な医療の資源配分が可能となる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療経済評価の技術面と倫理面の課題について、海外の調査や文献調査により、ある程度網羅できつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
明らかになった技術的、倫理的課題について、今後具体的な解決法を検討する予定である。
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Research Products
(64 results)