2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23390138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10283615)
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Keywords | 薬学 / 生理学 / 薬物動態学 / トランスポータ |
Research Abstract |
種々薬物トランスポータの構造・機能解析が進められ、個々の薬物動態学的意義が明らかにされつつあるが、薬物トランスポータ基質の体内動態特性が個体レベルで異なる例も多く見受けられる。また、薬物トランスポータの内因性基質が見いだされ、生理学的にも重要な役割を果たしている例も報告されている。本研究では、腎薬剤排出系の薬物動態学的、生理学的意義を解明し、新薬開発における基礎的情報の提供や生体の恒常性維持機構を明確にすることを目的として検討を進めた。Mate1ノックアウトマウスを用いて、種々カチオン性化合物の体内動態解析を実施した。特に糖尿病治療薬メトホルミンに関して、その臓器蓄積と副作用発現にMATE1が重要な役割を果たしていることを明らかにした。一方、アシドーシスモデルラットを用いた薬物動態解析により、カチオン性薬物の尿細管分泌への影響は小さいものの、有機アニオントランスポータの発現低下により薬物排泄能の低下することを明らかにした。また、新生児の発達過程におけるトランスポータの発現および機能変化についても明確にした。さらに、MATE1またはMATE2-Kを安定発現させたHEK293細胞を用いた解析から、これらトランスポータによる基質認識に関わる化合物側の物理化学的特性について明確にすることができた。本研究の遂行によって、ノックアウトマウスで得られた動態特性の情報と化合物側の情報を集積し,MATEを介した輸送のモデル構築を行うことで、今後の新薬開発段階における動態予測などに有用な情報を与えることが可能となるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標としたMATEの薬物動態学的意義の解明に関して、メトホルミンを中心に種々化合物を用いた解析を進めて新知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Mate1ノックアウトマウス等を用いた個体レベルでの解析と、MATE安定発現細胞やMATE/OCT2共発現MDCK細胞を用いたin vitroでの解析結果を集積し、動態特性の情報と化合物側の情報を集積し,MATEを介した輸送のモデル構築を行うことで、MATE基質の動態予測法の開発などを進める。
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